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No2(2001/06/15) 井戸田精一 株式会社 ジオ・アーキネット |
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アントニオ・ガウディ |
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偶然、今春、スペインに行く機会を得たのでその報告をさせていただきます。 私がガウディに惹かれるのは、デザインもさることながら、地域密着型の建築家であると言うことでした。 ガウディは建築を学びはじめてから、大学に通う学費を稼ぐために、建築現場で働き、実践的な技術を身に付け、大学を優秀な成績で卒業する。 そして、グエル公爵がパトロンになるまで何度と計画倒れの設計を繰り返した後、大きな仕事を手に入れ、アールヌーヴォーの先駈けとなるデザインを生み出す。 そして、有名なサグラダファミリア教会が最後の仕事となったのである。 |
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スペインでガウディは、カタルーニャ人であり、スペイン人ではないと言われている。 これは、バルセロナのあるカタルーニャ地方が特に西欧化し、スペインの他の地方と異なる歴史を歩んできた特殊性にある。 ヨーロッパの歴史は、複雑で、スペインの歴史も本当に複雑である。イスラム教、キリスト教が入り乱れ、ここに、ジプシーまで乗り込み、多様な文化が入り混じっているからでもある。 こうした多様な文化が体験できるスペインをバスで1周する旅行は忙しく、楽しい8日間があっという間に過ぎてしまった。 そして、中でも、ガウディの建物は、一番新鮮なイメージで頭に焼きついた。 ガウディは、建築確認申請に簡単な平面図と立面図を提出すると、後は、現場での打合せをしながら、模型を作り、工事を進めるのである。 いわゆる現場監督である。現場監督が建物のデザインをするのである。 今でも建築中であるサグラダファミリアでは、現場監督が工事管理を続けることは、常識的に無理だと思う。 当然、施工図を描いて、いつまでにこれを創って、あれをしてといっては、建物は造れないのである。 芸術家と構造家が、何度も現場で細部のディティールCGや石膏模型をつくり、検討を繰り返して次の段階に進むのである。 ガウディは、この考え方を、現場に残し、詳細図が無くてもその思想によって建物を生み出す流れを残したのである。 間近でガウディの建物をみると柱、梁、外壁、建具まで全てが曲線ででき、自然にあるものを模写しながら、建物のデザインに取り入れているのが本当によく分かる。 決して、新しいものでもなく、斬新なものでもないのである。 自分の手で粘土をこねて、自然のものを模写すすれば、ガウディのデザインする柱や梁ができるのである。 重要なのは、自然にある万物の環境が規則正しく、守られているかどうかということである。 これが美しく表現できることで斬新な建物となる。カーサミラでは、岩に海草や波が漂うように、グエル公園では、同じ敷地の山から出た石を使って柱を組み直し、サグラダファミリアでは、墓地にある糸杉を模写したのである。 この考え方は、ごく身近にある自然のものを形にするという簡単な作業に思えるが、実際、これを実現した建築家は、ガウディ一人ではないかと思う。 また、このデザインには、近所の保育園や小学校で見る絵や工作にあるような純粋さを感じるのである。 地域に密着した建築家は、特別なものを他の世界から持ってくることは無かったのではないだろうか。 そして、カーサミラでは、市の路上に外壁がはみ出し、違反建築が話題となってから、建築的に残すべき価値を地域の人々が受け入れ、議会を動かし、都市計画を変えたのである。 最後に、忙しい会社の西尾社長をはじめ、社員の皆さんが私の休暇を寛大に受け止め、この機会を与えてくださったことを、この場を借りて、お礼申し上げます。 |
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