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5.その他個別事項について
厚生労働省「室内空気中化学物質の測定マニュアル(案)」より
●外気の値の取り扱いについて
外気の値は、外気の汚染の有無を確認するものであって、室内濃度から差し引くものではない。室内で汚染が確認されたとき、それが外気由来である可能性の判断を行うために使用する。
●新築住宅の測定法について
新築住宅の測定法は原則として生活行為はない状態の住居を対象としている。希望する場合は、現在使用している、または過去に使用していた住宅についてもこの条件で採取を行うこともできるが、その場合は測定作業中は生活行為を行うことは出来ない。また、家具等が持ち込まれている場合は、住宅由来の揮発性化学物質量を直接評価する事は出来ない。これを厳密に調査するためには、対象物質を放散しないことが明らかである場合を除き、原則持ち込まれた家具等は測定作業中除去しておく必要がある。
●測定の時期について
完成後の経過時間によりホルムアルデヒドやVOCの放散量は変化すると考えられるが、測定の時期は測定依頼者が決めるのが原則である。施工業者等が確認の測定をする場合には原則として美装工事等の内装工事が全て終了した後に、引き渡し前のどこかで行う。
●集合住宅の取り扱いについて
集合住宅の場合、サンプル検査を行うこともあると思われるが、どの部分の測定を行うかは、それぞれ依頼者が判断する必要がある。またこの結果を持って、全ての住戸に当てはめた表現はできない。サンプル検査をもって個々の住戸の性質に言及する場合は、サンプル検査をした箇所、対象との間取り、部材、施工方法等について明確な説明を加える必要がある。
●カーテン、雨戸等の取り扱いについて
室内に直射日光が差し込む場合は、これにより揮発性化合物の放散量が影響を受ける恐れがあるので、カーテンが取り付けられている場合は使用した方がよい。雨戸については換気量に影響を与える可能性があるので締め切らないことが望ましい。直射日光の差込具合については記録したほうがよい。
●換気システムの取り扱いについて
常時使用することが前提となっている機械換気システムについては、閉鎖時間、採取時間中にも稼働させてかまわない。これらにはトイレ換気扇、浴室換気扇、レンジフード等で、必要に応じて間欠的に使用され、連続換気を原則としない局所換気システムは含まない。但し、これらの形式を取っていても、常時使用を前提とするシステムとなっている場合は稼働させてよい。常時使用を前提とする場合は、住まいのしおり等でそのことが適切に説明されていることが望ましい。また、小窓等のパッシブ型の換気システムは原則的には閉めて試料採取する。パッシブ型の常時換気システムは自然条件の影響を受けることが多いので、本件で使用を認める換気システムは、機械換気システムと同等の性能を有する場合例外的に設定できることとする。
●2重測定について
本試験法では、試料採取中の配管の外れ、その他のミスを考慮し、同一試料を2回ずつ採取することとし、同時に2重測定(n=2)の意味を持たせている。新築住宅の測定法の場合、採取は並行して行うのが望ましいが、2回連続して行うことも可能である。採取については、このように各箇所2回ずつ行うが、分析について2重に行うのは全体の10%の頻度でよい。但し、指針値近傍の値が得られた場合等は、全て分析する必要がある。
●単位の換算について
重量濃度で表示された市販の標準原ガスの場合における容積の換算は、
v(ml)=100×22.4(273+t)/273M(Mは分子量、tは気温,測定対象物質100mgに相当する採取容積)である。
重量濃度で表示された市販の標準原液の場合における液体容量の換算は、
v(μl)=100/ρ(ρは比重又は密度,測定対象物質100mgに相当する採取容積)である。
市販の標準ガス濃度 ppm(μl/l)の重量/体積濃度(μg/l)への換算には、
273M/{22.4(273+t)}(Mは分子量、tは気温)を乗じる。
それぞれの物質の mg/m3 から ppm への換算は
ppm ≒ mg/m3 × 24.04/分子量 (20℃)
ppm ≒ mg/m3 × 24.45/分子量 (25℃)
である。(体積ppm)
このppm 単位では空気中でその物質が占める体積の割合や存在する当該物質の分子の数を比較できる。
追記参考:ホルムアルデヒド(mg/m3 )≒ホルムアルデヒド(ppm)×1.26(20℃)
●捕集管について
「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法」中では各捕集管や捕集装置を検査機関で調製するやり方を示しているが、適宜測定対象物質に対して十分な捕集能力を有する市販品を使用してよい。
●容器採取法における採取流速について
新築住宅法(30分採取)の場合、容積が6Lの採取容器を用いて減圧採取を行う場合の採取流量は100?150ml/minである。加圧採取を行う場合の採取流量は270?400ml/minである。
容器はなるべく専用にすべきである。
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