住環境調査講習会 第3回 平成13年7月18日
<建材について>
・建材については継続的に情報を取り入れていかなければならない。
→ ・通常業務で多くの情報を得ることは難しい。
・複数で情報を収集、共有化する事により大きな情報を得ていく。
→ ・整理していくプランをあらかじめたてて、実行していく。
・野池氏の情報を図書館的に提供していただける。
<病気について>
・化学物質過敏症になるだろう室内濃度
→ ・おおよその範囲で分かるようになっていく。
(一般人のおおよその化学物質に対するバケツの大きさを知る。)
・一般的な日本人のバケツ残量は、ますます減っていくと思われる。
・こうすればアレルギーが悪化することはない範囲など、安全的観点からものごと を見据えていく。
・化学物質による健康被害
1.軽い急性中毒
・粘膜への刺激
・そのエリアに入ったら反応、出ると直る。
2.化学物質過敏症になる。
3.アレルギー症状が実際におこる。
・化学物質過敏症ではなく、喘息、アトピーが出るなど。
・因果関係がよく分からない。→石川先生「そろそろ分かり出す」とのこと
4.アレルギー症状が悪化する。
・はっきりしない。
・限定できない。
・深刻さが日常化している。
・この問題で悩まれている人のほとんどが、このタイプである。
→ ・野池氏に相談に来られる方の95%がこのタイプであり、ますます増加していっている。
・受け皿が少なく、受け皿を増やす必要がある。
・アレルギー
・日本の家庭の50%が家族にアレルギーの人がいる。
・新築、引っ越し時の相談が多い。
・アレルギーのことは、しっかり理解しなければならない。
→ 推薦図書「からだとアレルギーのしくみ」(日本実業出版社)\1,400-
「住まいのQ&A室内汚染とアレルギー」(井上書院)\2,100-
・アトピーの原因は分かっていないといってよい。
・小児喘息の90%は布団のダニらしい。
・アレルギーテストを分かっておいたほうがよい。
→ アレルギーのある人は、まず受けている。
・その他
・北里の石川先生の診察を受けてからというスタンスをとる。(野池氏)
・シックハウスというもので悩まれている方のほどんどが、化学物質過敏症である。
・「シックハウス症候群」という言葉は漠然としている。むやみにこの言葉を使用する のはやめたほうがよい。(定義付けはされていない)
→ 定義の例として「シックハウス症候群の脅威」(日刊工業新聞社)井上雅雄 著
<住環境調査>
・経過とあわせてアドバイスしていく。
1.ヒアリング(内容)
・化学物質過敏症になった前後の話を詳しく聞く。(何年の何月何日になど、時系列が分かるように)
・その後の経過「どのように工夫されて、どんな対処をされて、どのようになったのか」を聞く。
・発症→相談→対策をうつ。この間はたいがい悪化の一途をたどる。
・業者のクレームをまず聞かされる。(聞かざるを得ない)
・その人のバケツの状態を聞く。
→ご本人がアレルギー体質かどうか。(アレルギー体質は過敏症にかかりやすい) →遺伝するので両親、子供の話も聞く。
・仕事について(たとえば、薬品メーカー、病院、印刷所に勤めていたなど)
・煙草を吸う人がいるかどうか。
・暖房器具(燃焼系の排気など)
・冷房器具(カビの問題等)
参考:エアコンクリーニング四つ葉の団体で石鹸で出来るものがある。
2.フロー
@ 「相談を受けるにあたって」を読んで納得してもらう。
A 話を聞く。
B 住環境を見てまわる。見ながら話も聞く。
a.建材を見てまわる。
b.生活用品としてどんなものがあるか見てまわる。
(いろいろなところをあけてまわる。家具、防虫剤等)
・風呂のカビはどうか。洗うのにどうしているか。
・蚊取り線香を使っているのか。
・症状が出ている人は使っていない人が多いが、隔離していない人が多い。
・結露の話をする。
・カーテンを見る。(防炎等)
・趣味を聞く。(絵を描くとか)
・どの部屋でどんなことをしているときに、どうなるかを聞く。
→ この情報はを使って改善するのが、6,7割を占める。
その人の体感は、(とても難しいが)とても重要となる。
・外ではどうか、遠方ではどうかなども聞く。
→ 「どこに行くとしんどくて、どこに行くと楽になる」といった話。
C 全部のことを聞いて話をして、そしてどうするのが良さそうだというアドバイス をする。
→ 実にたくさんの情報を整理しながら、アドバイスをしなければならない。
3.改善策(対策として)
@最良の方法 → 問題のない別のところに住居を移す。
A大規模なリフォーム
B中小規模なリフォーム
C建材をいじらない工夫
・少しは建材をいじらなければならないのが、大多数である。
・犯人は複数犯であるが、出来うる限り主犯を見つけなければならない。
・建材に関しては、事前に必ず相談者でテストを行う。
・原則は犯人と思われるものから対処し、他の対策を付け加えていく。
・近くの家で使っている建材もチェックしておく。
・納得してもらってひとつひとつやっていく。→ 説明を怠らない。
・相談があった人にはFAXを買ってもらう。(野池氏の場合)
→ 言った言わないを防止する。
A.空気清浄機
・空気清浄機を使ってみる。
→ 普通のものはだめである。
HCHOだけが除去できても駄目である。ほかのVOCも除去出来るものを選ぶ。参考:ダストフリー社(米製)\98,000-
化学物質過敏症の人がよく使われている。
島津製作所 PCA-100
とうもVOCがとれるらしい。約7万円らしい。
レイヤー(Layer)クリーンエアー
今度野池氏がテストをされる。10万円程度。
・北里にまだ行っていないが悪化していく人には、換気を基本とし空気清浄機との 併用をすすめる。
→ 換気:換気扇を常時回し続ける。窓を開ける。
扇風機の有効利用。(空気循環の悪いところに置く。)
B.日常生活
・家庭用品の間違った使い方をしていないか。
・カビ→ 風呂を使った後、壁面を流す。拭く。消毒用アルコールを用いる。
・「ではどうするのか?」という質問が多くなることを認識しておく。
・日常生活の改善として、食べ物にも気をつける。
・化学物質のたくさんあるところには行かない。行ってもすぐ退去する。
C.塗装
・合板の押入にはセラックニスを塗る
→ ・放出量が3割程度になる。
・これは安い方法だから、するべき項目ともいえる。
・セラックニスはアルコール溶剤が使われている。
・自然塗料メーカーならまず製造している。(アトリエベル:野池氏使用)
・フラッシュに塗ってもきかない。
D.シート類
・吸着材としての炭入りシート
・野池氏作のものは、袋がポリプロピレン。
→ ・これがだめな人には、袋が和紙か糸のものを使用する。
・放出量より吸着量の方が多い。
・炭入りのシートは、日光に干せば8割方戻る。
E.フローリング対策
・下に敷物を敷く。
F.アルミ対策
・アルミをアルミ箔で覆う。→ 効果のほどは?
G.園芸用品
・農薬がかかっているので注意する。
・ポトスはHCHOを吸着する。
H.ベイクアウト
・夏行うならば良いが、冬はすすめられない。
・この方法は、部分的なものが良い。
・キッチンの棚とか洗面台の下とか下駄箱とか、棚を開けて暖房器具を置く。
・ピンポイントにするならば、この方法は相当効果がある。
・吸着シートを併用する。
・風呂のベイクアウトも簡単に行うことが出来る。
→ U.Bに熱いお湯を貯め、熱いお湯を壁にかける。そしてお湯を抜く。
扇風機等を使い空気を換気する。(これを3サイクルくらい繰り返す。)
・目標35℃で3時間、窓を開けて空気を入れ換える。
・HCHOについてはリバウンドが考えられる。
I.フラッシュの家具対策
・外に出してもらうか、処分してもらう。
→ 「もう少し良くなってから使いましょう。」とか言ってすすめる。
J.壁紙
・貼り替えでかなりの改善がみられるケースがある。
・ビニールクロスに関しては、表をはがしただけで楽になる人がいる。
・「糊」という問題で考えると、剥がさない方がよい。
→ 昔、新築直後で捲ってひどくなったことがある。
・1998年以降ならば、糊はノンHCHOの確率が高い。
・霧吹きで水をかけるとかなりとぶ。繰り返せばマシになる。
・ビニールクロスの取替は、まずすすめる。
→ 安価な対策であるし、面積が大きい。野池氏の実績からもいえる。
K.壁対策
@まずは、左官材料
・化学物質量が圧倒的に少ない。
・酢ビ樹脂が入っている。
・ただ、石灰のにおいが嫌いな人がいる。
A次は、添加物の少ない壁紙か、石灰クリーム、塗り物系
・成分を必ず調べてから使用する。
・参考:チャフウォール(CMC接着剤)でホタテ貝からできたもの。
・まずは野池氏が使ったものから入って、徐々に幅を広げていく。
L.天井対策
・ビニールクロスでなければ、問題はない。
M.押入
・合板を除去し、木に張り替える。
N.キッチン
・フローリングをやりかえるよりも、キッチンをやりかえるほうをすすめる。
→ 複合フローリングよりもフラッシュのキッチンの方が問題。
・タカラのホーロー。(天板の下地のみMDF。野池氏実績、クレーム無し。)
・ステンレスなどを試してみるのも良い。
O.床対策
・大規模な工事となる。
・フローリング、接着剤、下地の合板すべてチェックする。
・下地の合板が使える場合、セラックニスを塗って無垢材を貼る。
・上にどうしても(ワックスのたぐいのものを)塗りたい人は、いろんなものを持っていって選んでもらう。
P.畳
・インシュレーションボード100%の畳に化学染料のついていないものを使う。
・1階よりは2階の方がダニに安全。
・無垢のフローリングの上に置き畳にする事をすすめる。(野池氏)
・合板下地の場合はセラックニスを塗る。
Q.建材のチェック方法例
・密閉容器に建材を1日おいておき、開けてみて反応をみる。