シックハウス研究会議事録(第2回)
日時:平成13年6月25日(月) 18:30〜21:00
場所:大阪建築会館 四階会議室
出席:阿部・打越・梅本・尾関・坂井(京都士会)・坂上・田頭・辰巳・田中則明・土肥・中村・西野・畠山・福田・水畑・三宅・山本
内容:
1)測定器の実演指導
測定器を貸し出すにあたり、測定マニュアルを作成して頂いた三宅氏に、測定方法の説明を受ける。
測定方法のマニュアルは、厚生労働省「室内空気中化学物質の測定マニュアル(案)」を参考とし作成。
今後の測定方法の測定場所・測定回数等子細については本研究会として検討を要する。
(室内2ヶ所、外気1ヶ所について2回ずつ測定など)
2)第1回勉強会
『室内空気質と化学物質汚染』
講師:東賢一氏(化学者)
ホームぺージ『住まいの化学情報センター』: http://www.kcn.ne.jp/~azuma
e-mail: azuma@kcn.ne.jp
1.日常の生活空間
・1日の内、室内空間での生活比率が高く、特に住宅内でいる事が多い。
すなわち室内空気を多く呼吸している。
2.空気の組成
・室内空気成分のわずか1%の空気汚染物質が健康に影響を与えている。
3.シックビルディング症候群(SBS)
・シックハウス症候群の公の定義はない。SBSと同じような症状
4.室内空気質に影響する因子
・化学的、生物的、物理的因子がある中で、今化学的因子が問題視されている。
5.室内空気汚染化学物質の分類
6.有機汚染物質の分類
7.戸建住宅の揮発性有機化合物実態調査結果
・平成10年度、厚生省が50種類のVOCについて500戸の住宅を調査
・室外に比べ室内濃度が高く、室内に発生源がある。
・クロロホルムは、濃度は低いが、ガイドラインの値も低いので、超過率が高い。
というように、それぞれの物質の濃度とガイドラインとの関係が影響。
8.化学物質の毒性評価
・閾値(イキチ)のある化学物質:ある一定の量以下であれば反応を示さない物質。
その量を閾値という。実験で概算した閾値に基づいて指針値が決定される。
(現在厚生労働省が指針値を定めている12の物質は全て閾値のある物質)
・閾値のない化学物質:どんなに量が少なくても反応がゼロにならない物質。
閾値が存在しない。その場合、反応確率が百万分の1の量を概算し、その量を
実質的に安全な量として示す。
9.厚生労働省の室内濃度指針値
・最終的に50の化学物質の指針値を出す方向
10.室内空気対策研究会の実態調査
11.ホルムアルデヒド濃度と体調変化
・ホルムアルデヒド濃度測定と体調変化のアンケートにより
12.ホルムアルデヒド濃度の経年変化
・温度と湿度の上昇によりり室内濃度も上昇。
・4年ぐらいしないとホルムアルデヒドの濃度が下がってこない。
13.健康的な室内空気への権利
質疑応答
・蒸発と揮発の違いについて
蒸発:沸点による液体の気化(水は100℃で蒸発)
揮発:沸点以下での液体の気化(常温でも水は揮発する。)
・室内濃度指針値は温度による濃度の大きな変化はない。という事に関して
pV=nRT
p:圧力=1 V:体積
n:W/M(
W:質量=0.1mg/m3
M:分子量(ホルムアルデヒド:30)
R:0.082 T:絶対温度(273.15+摂氏)
V=W/30×0.082×(273.15+摂氏)
5℃:V=0.076ppm
20℃:V=0.080ppm
30℃:V=0.082ppm
・温度、湿度があがると放散されやすい。
ホルムアルデヒド:合板などの内に残っている水分にが溶けている。 接着剤のユリヤ樹脂やフェノール樹脂に分子が組込まれ
ていて、加水分解によりホルムアルデヒドが発生する。
−(HCHO+尿素)n− ←← H2O
↓ 加水分解
HCHO
・ベイクアウトの効果について
ベイクアウトについては、温度が40℃まで。(建物傷めない為に)
ホルムアルデヒドの加水分解より放散される分についてはベイクアウトでは
出てこない。トルエンの沸点は106℃、キシレンは110℃なので出にくい。
・吸着材について
活性炭など多孔質のものが吸着効果がある。が吸着してしまうとそれ以上の
効果はなく、温度や湿度の上昇により放散される事も考えられる。
化学的に分解という事も考えられている。
3)某市学童保育施設のクレオソート問題についてきつくて使用不能状態の現地確認を中村さんがされての報告。
学童保育施設で床下のクレオソート油の刺激臭が
・クレオソート油を、大引き・根太・束立て・根ガラミに塗布されている。
(仕上表には防腐剤塗装と記入)
・シックハウス対応を要望していたのに、その対策が為されていない。
(壁に杉板が貼られているが…)
・床下換気孔のうちの2ヶ所に換気扇取付け
・今後、市はベイクアウトで対応していくとの事であるが…
4)シックハウス研究会の運営について
1.大阪府建築士会に在籍していない方の自己紹介
(尾関、坂井、土肥、福田)
2.規約の変更事項(例会で承認):シックハウス研究会の会員は建築士会会員であ
る事及びシックハウス研究会会員が例会において承認した者。
(会員登録と年会費¥2,000.-徴収)
3.セミナー開催にむけての準備
不動産業・建売業対象のセミナー実施に向けて
実行委員:阿部、坂上、中村、畠山、福田
4.住宅調査についての準備
実行委員が7月中に野池氏の協力のもと、勉強会を行なう。
それ以降、会員に対しての勉強会を随時行なう。
実行委員:阿部、打越、中村、水畑、三宅
5.ホルムアルデヒド、VOCの精密測定を行なっている機関、企業についてのリスト作成。(以前のものを再確認)
担当:梅本、辰巳
6.建築士の日記念事業『住まい何でも相談会』のシックハウス関係相談員について
*次回の研究会 7月24日(火)18:30〜 4階会議室
(記録:西野)