防虫剤
パラジクロロベンゼン

家庭内でタンスの中などに使われる防虫剤やトイレの消臭剤の主成分として使われています。衣類用防虫剤としては、最近はにおいのしないピレスロイド系防虫剤の割合が増えてきましたが、現在でも年間2万9千トンのパラジクロロベンゼンが生産されているといわれてます。

厚生省が1997、1998年度に行った、一般家庭の室内空気汚染実態調査においても、他の化学物質に比べてパラジクロロベンゼンは高い数値を示しています。調査によりますとパラジクロロベンゼンの室内濃度はこの10年間ほとんど変わっておらず、他の化学物質に比べて対策が遅れているといわれてきました。

1997年8月に家庭用品専門家会議(毒性部門)においてリスク評価が行われ、2000年6月にトルエン、キシレンと共に厚生労働省のガイドライン値が設定されています。
パラジクロロベンゼンは居住者が自ら持ち込む化学物質であり、居住者自らが正しい使用方法を知る必要があります。日本は欧米に比べて高温多湿であるため、防虫剤の使用量が数倍も多く、使用量を最小限にするためには衣類の保存方法を工夫することが必要です。

1.虫に食われやすい絹、毛などの動物性繊維と、化学繊維や綿、麻などの植物性繊維を分けてあつかう。
2.衣替えで収納する前に充分汚れを落とし、しっかり乾燥させる。(クリーニングに出した衣類も収納前に陰干しする)
3.防虫剤はできるだけ密封された容器の中で使用し、室内への拡散を少なくする。(防虫剤を使わず脱酸素剤を使用することを推奨)
4.ウォークインクロゼットや室内に面したオープン型の衣類収納には室内に汚染物質が広がらないような換気の工夫が必要。
パラジクロロベンゼン
<一般的性質>
 パラジクロロベンゼンは常温で白い結晶の個体で、特有の刺激臭がある。
 個体から液体にならずにすぐに気体に変わる昇華性のある有機塩素化合物で、
 分解しにくいため、環境や人体に長く残留する。
<主な家庭内における用途と推定される発生源>
 衣類の防虫剤やトイレの消臭剤。
<健康影響>
 動物実験でアレルギー疾患や肝臓障害などが指摘され、最近では頭痛、めま
 いなど化学物質過敏症の原因になるともいわれている。
 1997年の家庭用品専門家会議(毒性部門)におけるリスク評価時の耐容
 平均気中濃度は 590μg/m3 (0.10ppm)と設定されている。
<現在の指針値>
 現在の指針値は、240μg/m3 (0.04ppm)