防蟻剤
 防蟻剤とは、木造建築物の劣化の主な原因の、イエシロアリやヤマトシロアリによる木材の採食を防ぐため、シロアリが建築物へ到達するのを阻止するために土壌に散布したり、木材を食べるのを阻止するために木材に塗布するアリ駆除剤です。
 防蟻剤は、もともと農薬として用いられているものを防蟻材として使用したものがほとんど、その種類も多種多様(有機リン系、カーバメイト系、ピレスロイド系等)です。

(1)クロルピリホス
毒性:変異原性なしと報告されているが、サルモネラ菌や大腸菌、バチルス菌等で変異原性あり、人のリンパ球培養実験で変異原性ありと報告されている。
人への影響は狭窄感、肺水腫様状態、食欲不振、吐き気、下痢、瞳孔収縮、震え等の症状を示す。 急性中毒の場合は縮瞳、意識混濁、けいれん、肺水腫、呼吸困難等を起こす。  ADIは0.01mg/kg/日。 劇毒区分は劇物に入る。
(2)ダイアジノン
 毒性:いくつか報告では変異原性なし。人のリンパ球細胞において姉妹染色体交換頻度が増加するという報告がある。一方、人に対する影響はクロルピリホスと同様な症状を起す。ADIは0.002mg/kg/日、毒物に指定されている。

(3)ペルメトリン
毒性:昆虫に対して神経毒として作用する。人に対する急性毒性としては、嘔吐、悪心、下痢、頭痛、耳鳴り、傾眠等がみられる。重症になると呼吸障害、震えを起す。
アメリカ科学アカデミーは、ペルメトリンを発ガンの危険度の高い農薬として挙げている。劇毒区分はなし。

(4)プロポキスル(PHC)
毒性:変異原性なし。体内で亜硝酸と反応して生成するニトロソ体は、大腸菌、バチルス菌、酵母、サルモネラ菌で変異原性がある。慢性毒性試験データー等は明らかになっていない。人に対する症状は、有機リン系薬剤と類似している。

(5)S-421
毒性:ラットに対する経口投与で肝臓肥大が観察されたとの報告がある。同類(エーテル系)には発ガン性を示す物もある。

以上が、室内環境で検出した物質、あるいはその可能性の高い物質を列記しました。