シックハウス関連製品等新着情報 (2005年)

<シックハウス関連製品等新着情報>  2005(平成17)年
空気清浄機 部屋も肌も爽快 ニーズにあわせ新機種続々
 健康意識の高まりを背景に、空気清浄機を利用する家庭が増えている。各社は、たばこの煙やにおいを効果的に除去できるもの、アレルゲン(アレルギーの原因物質)やウイルスを取り除く力を強めたものなどさまざまな商品を出し、利用の促進を図っている。ただ、その能力には限界があり、性能を知ったうえで購入することが大切となる。
 ≪出荷10年で倍≫
 日本電機工業会のまとめによると、家庭用空気清浄機の国内出荷台数は、平成16年度で約187万台。過去10年で2倍以上に増えた。「スギ花粉やハウスダストなどのアレルギー症状に悩まされる人が増え、室内の空気環境への関心が高まった」(同工業会)ためだ。
 こうした中、メーカー各社は機能をより高めた製品を次々と出し、需要の取り込みに力を入れている。
 ダイキン工業は4月、たばこの煙やにおいの除去力を強化した「フラッシュストリーマ光クリエールPLUS」を発売した。基本構造は、昨夏に出した「フラッシュストリーマ光クリエール」と同じで、(1)プレフィルターでほこりやペットの毛を除去(2)たばこやカビのにおい、(シックハウス症候群の原因とされる)ホルムアルデヒドを酸化分解(3)光触媒の技術でアレルゲンやたばこの煙、ハウスダストを分解−という流れで空気をきれいにする。「−PLUS」では、表面のパネルが開き、たばこの煙がより多く取り込めるようにしたほか、脱臭触媒の能力も高めた。
 たばこメーカーのJTとの共同開発製品。ダイキン工業広報部の山田香織さんは「たばこのにおいや煙を何とかしたい、というニーズは多い。これを利用することで、不快感を軽減できます」と話す。
 ≪ビタミンC≫
 空気中に浮遊しているアレルゲンやカビ菌、ウイルスなどの除去力を強めたものも人気だ。
 三菱電機が昨年10月に売り出した「プラズマッハMA−804」は、センサーで花粉などのアレルゲンを探し、吸い寄せる機能を搭載。「室内の数個の花粉も感知、除去できる」(同社)という。
 また、空気中に「除菌イオン」(水素イオン、酸素イオンなど)を放出し、アレルゲンなどの働きを抑えるタイプのシャープは、昨年8月、除菌イオンの放出量を倍増させた商品を出した。
 松下電器も同9月、9種類のアレルゲンやホルムアルデヒドに対応した商品を発売。富士通ゼネラルは除菌力を強めただけでなく、空気の吹き出し口から「肌の保水効果などが期待できる」(同社)ビタミンCを放出する商品を出すなど、各社は新機能を次々と打ち出し、効果をPRしている。
 ≪限界を知る≫
 さまざまなタイプのものがそろう空気清浄機。購入時の注意点は−。
 自身も5年前から使っている消費生活アドバイザーの棚橋節子さんは、「能力に限界があることを知っておくべきだ」と話す。「例えばたばこの場合。煙やにおいは取り除けるが、一酸化炭素など一部の有害なガス成分は除去できず、完全に分煙できるわけではない。また、花粉などのアレルゲンも、床に落ちたものは除去しにくい」(棚橋さん)
 「わが家でも重宝しているのは事実。機能や使い方を十分理解したうえで購入を」とアドバイスしている。
(2005/5/20:産経新聞・東京朝刊)
飛島建、マンション改修で健康対策前面に
 飛島建設はマンションのリフォーム事業で健康対策を前面に打ち出した営業を展開する。室内でめまいや頭痛が起こるシックハウス症候群の防止対策などに力を入れたモデルルームを9月までに首都圏に開設する。従来、建物の外装部分の改築が中心だった同事業の売り上げを3年後に現在の倍の20億円に引き上げる。
 中古の集合住宅のワンフロアを借り上げ改築する。シックハウス症候群を防止するため、部屋の壁はクロス材ではなく、しっくいを採用。キッチンやげた箱を設置する際にも化学系のりを使わずコメで作ったのりで部材を張り合わせる。付け替える柱に使用する木材も有害物質の有無などチェックを徹底する。
(2005/5/9:日経産業新聞)
長谷工がシックハウス対策への取り組み結果を発表
 長谷工コーポレーションは、自社で設計・施工したマンションのシックハウス対策について、35物件の代表的な住戸内で化学物質6種類の濃度を測定したところ、すべて厚生労働省が定める指針値を下回ったと発表した。
 この調査は、同社が2004年に竣工させたマンション97物件のうち、事業者から了解を得た35物件について、引き渡し前に住戸内の空気質を測定したもの。
(2005/4/28:日経アーキテクチャー)
ダイワボウ シックハウス症候群へ新商品
 ダイワボウは、シックハウス症候群の原因物質といわれるホルムアルデヒド・トルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)を吸着するシート「ゲルリリーフ」を開発した。不織布シート、ハニカムシートなどの形状で住宅やオフィス内装材、空調フィルターなどの用途に発売し、販売目標は05年度2億円、06年度5億円を計画する。
(2005/04/23:繊維ニュース)
同記事 ダイワボウ、VOC高率吸着の不織布シート開発
 ダイワボウは22日、シックハウス症候群の原因物質である揮発性有機化合物(VOC)を吸着する不織布シートを開発したと発表した。従来の吸着材料の接着に樹脂を使用せず、材料を加工物表面に固着させる新加工技術を実現したもので、VOC成分の吸着性能を大幅に向上した。不織布シート形状のため、交換の容易性や設置場所の自由性も高いという。今年度2億円、2006年度には5億円の販売を見込む。
 [化学総合] 
(2005/4/25:化学工業日報)
アイオーティカーボン、木炭を使った脱臭剤を発売−家の解体材などが原料
 アイオーティカーボン(富山市海岸通字松浦町2の9、杉山秀樹社長、076・426・1233)は、木炭を使ったガス吸着・脱臭・調湿商品「炭から炭まで」を発売した。
 ダム流木や家の解体材などの木質系廃棄物を原料にしており、室内空気浄化炭1種類と脱臭・調湿用木炭ボード2種。
 室内空気浄化炭は押し入れなどに設置してシックハウスの原因物質である揮発性有機化合物(VOC)ガスの吸着や脱臭ができる。価格は4袋セットで3360円。
 アイオーティカーボンは大林組などが出資する会社。
 脱臭・調湿用木炭ボードは2種類の大きさがあり、靴の脱臭やタンス、食器棚の調湿に使える。価格はS判が2枚で210円。M判が2枚315円。
 以前から販売している木炭と木炭ボードも含めて、2年後に1億円の売上高を目指す。
(2005/04/22:日刊工業新聞)
「環境」「健康」住宅ローン優遇
 環境や健康に配慮した住宅に的を絞り、金利を優遇する住宅ローンが相次いで登場している。対象は、太陽光発電システムを導入した「省エネ住宅」や、シックハウス症候群対策を講じた「健康住宅」など広がりを見せている。
  ◇ 企業の社会貢献
 みなと銀行は2月から、住宅販売会社の無添加住宅(兵庫県西宮市)と提携し、融資の全期間にわたって、基準金利より1・0%優遇する住宅ローンの取り扱いを始めた。個人ローン部の品川秀夫さん(49)は「シックハウス症候群などに悩む人を支援する取り組みでもあるんです」と教えてくれた。
 シックハウス症候群は、建材などに含まれる揮発性の化学物質を吸い込むことで、目鼻の刺激や頭痛などの症状が出る。無添加住宅は原因となる化学物質を使わず、自然の素材を生かした家づくりを進めており、2004年度は代理店分も含めて約100戸を販売した。社長の秋田憲司さん(45)は「うちが建てた家に転居し、症状が治った例もあります」と話す。
 健康志向の高まりを背景に、問い合わせも増えており、今年度の販売戸数は220戸と、前年度の約2倍を見込む。品川さんも「住宅ローン獲得競争が激しくなる中で、商品の違いを打ち出し、融資残高の増加につながれば」と期待する。
 住友信託銀行は04年10月、住宅メーカーのパナホーム(大阪府豊中市)と提携し、金利を優遇する住宅ローンの取り扱いを始めた。太陽光発電システムを備えるなどの条件を満たした環境配慮型住宅が対象で、「CSR(企業の社会的責任)活動の一環」(広報担当者)という。CSRを担当する企画部の金井司さん(44)は「企業価値の評価も、企業が社会の一員としてどのような貢献をしているかが問われるようになってきている」と説明する。
 一方、パナホーム広報宣伝部の井筒克彦さん(37)は「住宅業界では、低価格で販売攻勢をかける中堅の住宅メーカーが現れるなど、競争が激しくなっている」と背景を解説する。今回の提携ローンを活用して、付加価値の高い住宅の普及に弾みをつけたい考えだ。
  ◇ 電力・ガス業界も
 電力・ガス業界も金融機関と協力して、環境に優しい住宅を対象に、同様の取り組みを始めている。
 関西電力の子会社で、決済業務などを手がけるクリアパス(大阪市)は、みずほ銀行と提携して、2月から住宅ローンの取り扱いを始めた。電力会社の中で、グループ会社が直接、ローンを手がけるのは関電が初めてだ。関電グループ経営推進本部の田口伊三雄さん(46)は「電力自由化で、業界内の競争は激しくなることが予想され、既存の事業だけでは生き残れない」と強調する。
 ローンの対象は、関電が契約するオール電化の新築の戸建て住宅やマンションで、借り入れの当初3か月は金利ゼロ、4か月目から最終返済日までは基準金利より1・0%優遇する。
 大阪ガスも、UFJ、りそな、三井住友、住友信託の4銀行と提携し、2月から金利を優遇する住宅ローンを取り扱っている。天然ガスを利用した温水床暖房を導入するなどの条件を満たした住宅が対象だ。
 地球環境問題やシックハウス症候群に対する消費者の関心は高まっている。それだけに、環境や健康に配慮した住宅の普及を後押しする金融機関の取り組みは、社会貢献にもつながると期待され、どこまで広がるかが注目される。
 CSR
 「Corporate(企業)Social(社会的)Responsibility(責任)」の頭文字を取った言葉。企業活動の中に、法令順守や環境への配慮、地域貢献などを組み込んで、利害関係者への説明責任を果たしていくという幅広い概念。企業活動の国際化や企業の不祥事の頻発などを受け、1990年代以降、欧米で急速に広まった。
 日本でも関心が高まっており、2004年に経済同友会がまとめた調査によると、回答があった約230社の会員企業の中で、約3割がCSRの専任部署や担当者を置いている。最近は、社会的責任を果たしている企業を選んで投資する動きもある。
(2005/04/16:読売新聞・関西)
日清紡、徳島工場に「カルボジライト」の生産能力10倍以上の量産体制を確立
徳島工場にPCDプラント竣工
生産能力10倍以上に。量産体制確立
 日清紡は、4月11日、徳島工場において新プラントの竣工式を行いました。
 新プラントは、高機能性樹脂素材「カルボジライト」の生産設備と化学製品のパイロット設備の2棟からなります。これにより「カルボジライト」の生産能力は従来の十倍以上となり、本格的な量産体制が確立したことになります。
 「カルボジライト」は、ポリカルボジイミド(PCD)※の化学反応を活かした樹脂改質剤(架橋剤)で、当社では1994年頃から開発に着手し、千葉工場(旭市)に月産能力10tの生産設備を導入し、1999年から試験的に生産してきました。
 「カルボジライト」は、[1]水性樹脂の耐水性向上、[2]ポリエステル・ポリ乳酸の加水分解防止、[3]エポキシ樹脂の耐熱性向上、[4]優れた化学反応性、[5]人体や環境に対する安全性などたいへん優れた特性を持っています。
 揮発性有機化合物(VOC)、環境ホルモン、シックハウスなどの原因物質の代替や植物由来樹脂の安定剤など、様々な分野でその特性が高く評価されています。
 世界的な環境問題への関心の高まりを背景に、各種化学物質に対する規制強化は年々厳しくなっています。近い将来、国内市場だけでも、架橋剤は年間生産量1,000トン規模に、植物由来樹脂の安定剤は2,000トン規模に達し、さらに拡大が見込まれています。
※ 分子中に「−N=C=N−」(カルボジイミド基)を有する日清紡が独自に開発したポリマー(高分子)のことで、一般的には、カルボジイミド化触媒の存在下ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応によってつくられます。
(2005/4/12:日経プレスリリース)
「エアコンの付いた換気扇」発表
 「エアコンの付いた換気扇」という、いっぷう変わった商品が発売されます。きっかけは、2年前に変わったある法律でした。
 松下電工が6月に発売するエアコン付きの換気扇。見た目は普通のエアコンなんですが、裏側には、ファンの付いた換気扇が埋め込まれています。商品開発のきっかけは、2003年7月の建築基準法の改正でした。当時問題となっていたシックハウス対策として、新築住宅の各部屋に換気設備の設置が義務付けられたのです。松下電工の担当者は「換気扇のすぐ横にルームエアコンをむりやり取り付けることになり、非常にインテリアがよくない」と話します。ならば、2つを一緒にしてしまおうというのが今回の商品で、年間1万5000台の売り上げを見込んでいるということです。
(2005/4/11:朝日放送)
国内新車 売りは“空気” 悪臭抑制、アロマ…女性照準
 車の中の“空気の質”を高める動きが国内自動車メーカーの間に広がっている。トヨタ自動車や日産自動車が除菌イオン技術を使って浮遊カビ菌やにおいを抑えるエアコンを搭載する一方、軽自動車勢はアロマオイル(香油)で香りを楽しむオプションを設定するなど、各社は趣向を凝らしている。背景には女性ドライバーの増加があり、各社はにおいなどに敏感な層にアピール、販売拡大につなげようとしている。(納富優香)
 車内の空気が注目を浴び始めたのは平成十五年ごろ。シャープが開発した除菌イオン「プラズマクラスター」技術を使ったカーエアコンを同年七月、自動車部品メーカーのゼクセルヴァレオクライメートコントロールと日産が共同開発。日産の主力小型車「マーチ」に搭載した。日産では小型車から高級セダンの「フーガ」まで幅広い車種に設定している。
 シャープの除菌イオン技術はその後、トヨタやダイハツ工業も採用、空気清浄機やエアコンに搭載している。
 そのトヨタはさらに今年二月、全面改良した小型車「ヴィッツ」では、世界初の花粉除去モードを採用した。スイッチ操作から約三分間特別な空気の流れをつくり、顔まわりを中心に衣服に付着した花粉や車外から侵入した花粉を除去、乗車時の5%程度にまで減少させる。
 同社では「花粉だけでなくほこりも減らせクリーンに保てる。小型車では、ちょっとした心地よさが他メーカーとの違いにつながる」として、他車種への展開も検討し始めた。
 一方、女性ユーザーの多い軽自動車では、ライターソケットでアロマオイルなどを熱する「香り」のオプションに力を入れている。先行したのは富士重工業、十五年十二月に発売した「スバルR2」に採用した。ダイハツも昨年八月の「ムーヴラテ」から設定している。
 芳香剤のような強烈な香りではなく、オイルやエッセンスを熱することで、「お気に入りの香りが上品にほのかに漂い、ドライブ中も気分を癒やしてくれる」(ダイハツ)という。フルーツやハーブなど自然の香りを設定したことも好評だ。
 軽首位のスズキは、緑茶などに含まれるカテキンを使ったフィルターで脱臭効果を高めるほか、超音波加湿器をアクセサリーとして設定、冬場のドライブなどの快適性をアピールする。
 一方、日本自動車工業会では、新車の揮発性有機化合物の低減に取り組み始めた。塗料や接着剤の溶剤として使われるホルムアルデヒドやトルエンなどは、空気中に揮発して不快感やのどの刺激など「シックハウス症候群」を引き起こすが、この使用量のガイドラインを設定。十九年度以降の新車に適用して、有害な空気を減らすよう義務付ける考えだ。
 一連の流れは家庭用エアコンの高度化など住宅での取り組みに対応したものともいえるが、各社が注目しているのは女性ユーザーの拡大。「購入の決定権を持っているのは女性」(ダイハツ)といわれ、空気に敏感な女性にアピールする“見えない”工夫を競っている。
(2005/4/11:産経新聞)
さびに強く環境に優しい「アルミの家」 業界が普及に力
 アルミニウム業界が柱や壁、はりなどにアルミニウムを使った建物「アルミハウス」の普及に力を入れ始めた。アルミは高価だが、リサイクルしやすく、鉄骨や木造の住宅より建築廃材を減らせる。さびに強いなど耐食性もある。業界には、アルミの消費量がほぼ頭打ちのため、需要を掘り起こす狙いがある。
 アルミは建物のサッシなどではすでに主流だが、柱などの主要構造部にもアルミを使うのがアルミハウスの特徴だ。湿気に強い利点を生かし、1階の床下の部材をアルミにすれば、「低床のバリアフリー住宅になる。防腐剤を使わなくても済むので、シックハウス問題の解決につながる可能性もある」(経済産業省非鉄金属課)という。
 アルミは02年、国に柱などでの使用が認められた。アルミハウスの昨年の着工実績は約10棟。鉄を使うスチールハウスの2千棟と比べると、まだまだ少ないが、業界では今年度、同省から1900万円の委託費を受け、著名な建築家との共同企画を進めたり、シンポジウムを開催したりして、知名度の向上を目指す。
 最大の課題はコストの高さ。3.3平方メートルあたりの建築単価が55万〜70万円と高級木造住宅並み。スチールハウスの40万〜50万円よりも割高だ。世界的な原材料価格の高騰も逆風だが、地震が各地で相次いでいるため、「鉄より軟らかく、免震性がある」と売り込む業界幹部もいる。アルミの銀の色合いが与える都会的な印象もPR材料だ。
 日本アルミニウム協会によると、アルミの需要はこのところ年400万トン前後で推移し、昨年は433万トン。自動車向けは伸びているものの、「自動車会社の値引き圧力が強く、利幅が薄い」(関係者)。サッシなど建築向けは住宅着工件数減少のあおりを受け、減っている。
(2005/4/5:朝日新聞)
「木組みの家」の復権(1)輸入材増加と環境破壊
 飛行機から地上を眺めて、あらためて驚いたことがある人も多いだろうが、日本列島は山林に覆われている所がほんとうに多い。森林面積が国土の約66%を占めると言い、森林のうち約4割をスギ、ヒノキなどを植林した人工林が占める。1960年代から70年代に都市での住宅需要に対応するために植林が盛んに行われ、人工林面積が拡大したためだ。
 現在の日本はおかしなことに、こうした豊富な森林資源を持つのに、それを活用せずに木材を大量に輸入するようになっている。2002年には用材(製材用材、パルプ・チップ、合板用材、その他用材の合計)の82%を輸入に依存している。製材用材でも、68%を輸入している。合板用材では98%が輸入材だ(「平成15年 林業白書」)。
 輸入材を大量に使うことは、環境保全という点から見て、さまざまな問題がある。責任を持って森林管理をする能力と意思をもつ事業者が樹を切り出すのではなく、無責任な事業者が森林を乱伐すると、森林破壊につながってしまう。日本が輸入している木材では、乱伐によるものがかなりの割合を占めると見られることが、大きな問題のひとつだ。
 また、日本の輸入する木材は、米国、カナダ、ロシア、東南アジアなどから遠距離を船で運ばれてくるため、国産材に比べて大量の輸送用エネルギーを使う。化石燃料を大量に使い、大気中の温暖化ガスを増やすことになってしまう。
 他方、輸入材に押されて国内の木材価格が低迷しているため、林業家の多くは意欲を失って、間伐など健全な人工林を育てるのに必要な手入れをしなくなっていると言う。手入れをしない人工林は荒廃して災害の危険も大きくなる。
 近くの山林の樹齢100年の樹で建てた家に100年以上住む、といった森林資源の使い方ができれば、「持続可能な住生活」という視点から見て理想的だが、現状はそれと程遠い状態になっている。どうして、国内の森林資源を活かさずに、輸入材に大きく依存する構造になってしまったのだろうか。
 輸入材の価格が国産材に比べて安いからだ、という答えがまずあがるに違いない。しかし、問題はそれだけではない。「日本の杉桧を守る会」の現状認識の図には、「国産材使用率の激減」の背景として「大手ハウスメーカーの営業戦略」や「非木質系の素材の増加」による「国民の家に対する概念の変化」ということが指摘されている。
 つまり、木の特質を生かし職人の熟練を必要とする家ではなく、新建材や合板、集成材、ビニール・クロスの壁材など規格化された工業製品を短期間に組み立てる家造りが優勢になり、本来の木の特質への関心が薄くなってしまった。そのために輸入材使用率が著しく高まった。
 しかし、最近になって、工業製品的なシステムで造られた家の多くがきわめて不健康なものであることが知られるようになり、「木の良さを生かした家」を建てたいという願いを持つ人が増えてきている。そして、国内の林業地域と消費者が結びついて、家づくりの考え方が模索され、「木の良さを生かした家」づくりの新たな仕組みが生まれつつある。
 そこで、この連載では、「木の良さを生かした家」とは何かを探ってみることにした。前の連載の「工業化以後の手仕事」では「持続可能な衣・生活文化」をとりあげたが、今回はそれを踏まえて、「持続可能な住・生活文化」への途を考える。
(2005/3/15:JANJAN)
「木組みの家」の復権(2)林業地域からの流通革新
 前回書いたように、輸入材の価格が安いだけでなく、大手ハウスメーカーの販売戦略が浸透し工業製品的な考え方の木造住宅が主流になった。素材としての木の特質を生かす家づくりが評価されなくなったために、輸入木材への依存度がいちじるしく高くなってしまった。
 そうした中で、行き詰まった国内の林業地帯の人たちと健康な住宅を求める都市生活者が結びついて、どこに問題があるのかを論じ合い、打開策を探った結果、新たな木材流通と家づくりの仕組みづくりがいくつかの地域で進むようになっている。その代表的なもののひとつが、秋田県二ツ井町から生まれた「モクネット」だ。
 米代川流域は戦国時代から秋田杉の産地として知られ、秋田杉は河口の能代から畿内に船で搬出された。二ツ井は、米代川支流の山奥で伐採された杉を集め、そこから筏に組んで能代に流す集散地として栄えてきた。戦後も、1970年頃までは国産の木材に対する需要が大きく、営林署主導の原木生産や製材業などで二ツ井の町も繁栄した。しかし、戦中戦後の乱伐の結果、大径木の天然杉の資源が枯渇し、輸入材との競合が激しくなるとともに、町は衰退するようになっている。
 さびれていく町を立て直すには、林業を再び活発にしなくてはならないと考えた二ツ井町商工会青年部と首都圏の生活クラブ生協のメンバーが結びついて、埼玉県狭山市の市民運動「森林問題を考える会・ネットワーク21」(「木の家づくりを通じて山をなんとかしたい」)ができる。
 この会では、二ツ井町の加藤長光さんをはじめとする商工会のメンバーと生協のメンバー、設計士の丹呉明恭さん、大工さん、材木屋さんなどが出席して、10年ほど議論が重ねられた。その結果、「木を活かした家づくりをすることが山を守ることにつながる」ことが明かになり、「産直の家づくり」という方向がはっきりしてきた。この方向を実現するための山の側の仕組みとして、1990年に「モクネット事業協同組合」がつくられた。
 これまで、国産材で家を建てようと思っても、1軒の家に必要な安定した質の木材をひとつの産地で揃えるのが難しいという問題があったが、モクネットは、こうした問題の解決をめざしている。モクネットの考え方の特徴を要約するとつぎのようになる(「モクネットの理念」)。
(1)価格の安い秋田杉の「並材の規格材」を生産し、ふんだんに使ってもらえるようにする。化粧材として使われる節がおもてに見えない「役もの」はとても価格が高い。節は見えるものの価格が格段に安い「並材」も強度には変わりがない。ところが従来の材木流通は、価格の高いブランド品的な材木を中心にした仕組みになっていた。
(2)「乾燥材」を安定供給するために規格材をストックする。家を建てるのに必要な乾燥ずみの材木をすぐに揃えることが容易でない点が、これまで国産材の使いにくさのひとつになっていた。
(3)建て主側と山の間の「顔の見える関係」。建て主か、設計者、大工・棟梁に材や山を見にきてもらう。木の性質、製材、加工を見てもらい、木をどう活かすかを考えてもらいやすくする。
(4)モクネットは、山、直営の製材所、加工所をもたず、趣旨を理解してくれる協力者をネットワーク化する「調整役・まとめやく」としての役割を果たす。
(2005/3/16:JANJAN)
「木組みの家」の復権(3)「伝統的構法」とは?
 前回、紹介した「森林問題を考える会・ネットワーク21」(「木の家づくりを通じて山をなんとかしたい」)のように、国内の林業地域の衰退を憂える立場のメンバーと、健康的な住まいに住みたいと考える都市生活者の立場のメンバー、および設計士や大工さんたちが、地球環境の問題も念頭に置きながら、住宅のあり方について時間をかけて話しあっていくと、ある共通認識に行き着く。
 「木の良さを活かした住宅づくり」を復活させることが「山を守ること」につながり、再生可能資源である国内の森林をうまく使う「持続可能な住生活」にもなる、ということだ。そして、「木の良さを活かした住宅づくり」とは何かについて対話を重ねると、素材としての木の特質をよく知り、それを活かす構法は「伝統的構法の木組みの家」という認識になる。
 「職人がつくる木の家」は、「モクネット」などの林業地域側からの木材流通の新しい仕組みづくりに呼応して、「本格的な木組みの家」の復権をめざす設計士、職人さんたちのネットワーク「木の家ネット」がつくっているサイトだ。このサイトの「木の家」によって、「伝統的構法の木組みの家」とはどんなものを言うのか、大筋をおさえておこう。
 木造住宅の基本構造には、欧米流の「枠組構造」と日本の家の特徴である「軸組構造」がある。「枠組構造」は、壁や床など「面」でもたせる構法で、プレハブ住宅や2×4はこの方式をとる。他方、「軸組構造」は、柱や梁を組んだ構造でもたせることを基本にした構法だ。「軸組構法」には2つのタイプがあるが、ややこしいことに「在来軸組構法」と「伝統的軸組構法」というまぎらわしい名前がついている。
 戦後、住宅需要の急増に対応する時期に、熟練職人がいなくてもできるように手間を省いた「軸組構法」が普及し、プレハブ住宅などとの対比で、「在来軸組構法」という名前で呼ばれるようになった。そこで、本来の「軸組構法」を表すために「伝統的軸組構法」と言う言葉ができた。
 「伝統的構法」の特徴は、本格的な「木組みの家」という点にある。木と木を接合するのに金物に頼らず、「仕口(部材どうしを直角または斜めに接合する)」、「継手(部材どうしを同じ方向に接合する)」と言われる技法で接合部の木に刻みを入れて組み合わせる。たくさんの部材どうしが「複雑に組み合わさり、支え合う」ことで建物の強度を生み出す技法なので、大工の木のクセを見抜く眼と熟練した腕が必要になる。
 それに対して、「在来構法」では、複雑な木組みはせず、接合部の補強に金物を多用し、斜めのつっかい棒である「筋違い」を入れる。「在来構法」は優れた木組みの腕をもつ大工がいなくても、家を建てることができる。
 また、「伝統的構法」では、柱や梁が見えるようにして柱の間に土壁や板壁をつくる「真壁(しんかべ)」づくりが基本だが、「在来構法」では、柱や梁を壁で覆ってしまう「大壁(おおかべ)」づくりがほんんどになっている。そして、この「大壁」に新建材がよく使われている。
 この連載でこれからだんだん語っていくように、「伝統的構法」は木の良さを活かす知恵が凝縮された本格的な木組みの構法であるのに対して、「在来構法」は「伝統的構法」の心髄を失った簡略化構法と言える。ところがさまざまな事情によって、「在来構法」が優勢になり、最近まで職人さんたちが「伝統的構法」で家を建てる経験をする機会が乏しい状態になっていた。なぜそうなったかについては、次回に探ることにしよう。
(2005/3/17:JANJAN)
「木組みの家」の復権(4)棟梁の技と近代知の溝
 木の良さを活かす家という点で、「伝統的構法」の本格的な木組みの家はたいへん優れている。しかし、最近までその心髄がきちんと評価されず、新しく建てられる家のほとんどが複雑な木組みをしない「在来構法」になってしまっていた。
 大きな理由として、建築基準法が筋違いを交えた構法を正しい仕様とし、その考え方にもとづいて、住宅金融公庫の仕様も、接合部を補強する金物を使うことを求め、「在来構法」を後押ししてきたことがあげられる。この背景には、「伝統的構法」の家は脆弱だという欧米の建築家の評価があった。
 「伝統的構法」についての経験と技を継承してきたのは大工の棟梁で、ほとんどの建築学者は「伝統的構法」のことをよく知らなかった。また、秋田県立大学の佐々木光教授が指摘するように、大学教育では木造技術のことを教えてこなかったために、建築基準法をつくる建設省の役人は「伝統的構法」を理解していなかった。また、設計士たちも、大学で「伝統的構法」のことを学ばずに資格をとることになった。
 このように建設省の役人、建築学者や設計士の知識と大工の棟梁が継承してきた経験や技の間に深い溝があったために、「伝統的構法」の木組みの家の優れた特性が正しく評価されなくなってしまったのだろう。
 しかし、最近になって持続可能性への関心が高まるとともに、ようやくこうした溝が克服され、「伝統的構法」をきちんと評価しようとする動きが広がりつつある。例えば、宮越喜彦さんによると、国土交通省も、伝統的な土壁、板壁、格子壁を耐力壁と認めるなど、建築基準法で伝統構法に正当な位置づけを与える方向に向いつつあると言う。
 「木の家ネット」に加わっている設計士たちのように、「伝統的構法」を職人さんたちとともに学ぼうとする人たちも増えてきて、棟梁と設計士の間にあった溝も埋められつつある。
 また、「森林問題を考える会・ネットワーク21」のような林業地域と都市生活者の連携を通じて、「木の良さを活かす家」として「伝統的構法」の木組みの家への関心が高まるとともに、若い大工さんの中にも、伝統的な木組みの技をしっかり身につけようとする人が増えてきている。
 その一人である中村武司さんは、「建前学校」が木組みの技を身につける恰好の機会だったという。「建前」の際に、伝統的な継手・仕口で刻んだ材を現場で組み上げるので、若い大工たちにとってこれを手伝うのが木組みを学ぶ「最適の実践の場」となる。
 この「建前学校」を通じて、若い大工同士のネットワークができていると言う。また、「伝統的構法」を学ぼうとする若い大工さんたちにとって埼玉県朝霞市の「もくねっとハウス」での「大工塾」が研修と交流の場として大きな役割を果たしている。
(2005/3/23:JANJAN)
「木組みの家」の復権(5)健康に暮らせる家
 林業地域の人たちと都市生活者、設計士や大工さんが連携して住宅のあり方について議論を煮詰めていき、さまざまな視点を総合すると「伝統的構法」の木組みの家が優れているという評価になるという。なぜそういう評価になるのかを、いくつかの視点から、具体的に考えてみることにしよう。
 まず、都市住民側からの木の良さを活かした家への関心が強まる大きなきっかけは、シックハウスの問題が知られるようになり、また住宅とアレルギーの関連が認識されるようになったことだ。工期の短縮と省力化だけを重視した工業生産的な考え方の住宅は、接着材、塗料、防黴(ぼうかび)剤、防虫剤などに化学物質をたくさん使うため、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因となりやすい。
 「工業化以後の手仕事(3)風土無視の住宅の悲劇」でも触れたように、こうした問題がひどくなった背景のひとつは、根本的な問題は何かをよく考えない対症療法的な対策の誤りがあった。ダニやカビがアレルギーの原因になるということが知られるようになった時に、壁材や畳に防黴剤、防虫剤が多用されたり、殺虫剤がたくさん撒かれるようになった。ところが、防黴剤、防虫剤、殺虫剤に含まれる化学物質がアレルギーを悪化させる効果をもっていたのだ。
 日本列島のほとんどの地域では、梅雨期から夏は高温多湿になり、ダニやカビが発生しやすく、それを抑えるには、うまく湿度調整を行うのが、根本的な対策と言える。そして調湿機能という点で、無垢の木が露出する部分が多い「伝統的構法」の木組みの家は、たいへん優れている。湿度が高い梅雨期から夏には、木が空気中の水分を吸収する。冬、湿度が低い時には、木が水分を放出してくれる(「木の家は健康にいい」)。
 「伝統的構法」の木組みの家は、工業生産的な住宅と違って、接着材、塗料、防黴剤、防虫剤などの化学物質を使わないだけでなく、無垢の木の湿度調整機能を活かしてダニやカビの発生を抑えることができる。
 他方、「在来構法」では多くの場合「大壁造り」にして、柱や梁を露出させず、壁で覆ってしまい、さらに壁にビニールクロスを貼ったりすることが多い。こうなると、木の調湿機能を活かせなくなってしまう。
 また、ほるくすの大江忍さんが語っているように、「伝統的構法」の家は、もともと「木の家」であるとともに「土の家」でもある。土壁、瓦、瓦の下の土といったように土がたくさん使われている。そして、土壁も、優れた湿度調整や温度調整の機能を持っている。
 「伝統的構法」は地方によって違いがあり、各地方の風土に合った暮らしの知恵が集約されている。設計士、職人さん、居住者がそれぞれ、そうした知恵を学び直していくことが必要になっているのだろう。
(2005/3/24:JANJAN)
「木組みの家」の復権(6)住まいの耐久性
 前回には、シックハウス症候群になったり、アレルギーが悪化したりしない健康的な家という視点から考えると、人工的な化学物質を使わず、木の湿度調整機能を生かせる木組みと真壁の「伝統的構法」が優れていることを指摘した。つぎの視点として「職人がつくる木の家/末長く」を手がかりにして、「伝統的構法」の木組みの家の耐久性と持続可能な社会との関連をとりあげよう。
 最近の家の平均耐用年数は、20〜30年だと言う。しかし、近くの山で育てた樹を使って家を建てることを考えると、少なくとも大きな樹が育つのと同じ位の間、家をもたせないといけない。「伝統的構法」の木組みの家は、手入れをしながら住めば、100年以上もたせることができるので、それが可能になる。
 最近の家の平均耐用年数が短いのは、住宅についての考え方が消費財的になっていて、世代交代の際にすぐに建て替えるという選択になってしまうのと、木造住宅の主流になっている「在来構法」は木が痛みやすいためだという。最近の木造住宅は、「在来構法」で柱や梁を壁で覆ってしまう大壁づくりが一般的だが、大壁づくりの場合、壁の内部に結露がおき、それがもとで木が腐ったり、白蟻が発生したりという問題がおきやすい。
 それに対して、柱や梁を覆わず木組みを外に表す真壁づくりにすれば、木が水分を吸うなど放出できるので木を長持ちさせることができる。さらに、木組みをいつも見えるようにする構法は、トラブルを発見しやすく、メインテナンスをし易い。
 依頼主の築80年の家を壊さずに修復する経験をした設計士の丹羽明人さんは、伝統的な家が100年も200年ももったのは、耐久性が高いからというより、メインテナンスをし易い構造であったため、補修しながら住み続けるのが容易だったことに気づいたという。
 「伝統的構法」を用いた木組みで真壁づくりの家にすれば、山で大きな樹が育つのに必要な年数かそれ以上、住み続けられる。このことは、持続可能な社会が求める要請に適っている。
 また、新建材やビニル・クロスなど石油系の素材を多用した最近の家は、解体して燃やすと危険な廃棄物がたくさん発生するという点でも問題が多い。それに対して、「伝統的構法」の木組みの家は、解体しても柱や梁は再使用できるものが多く、木、土、竹などからなるため廃棄しても土に還るものばかりだ。
 しかし、本格的な木組みの家が増えても、現状のままの社会システムでは、世代交代の際に取り壊されてしまい勝ちなのは変わらない。風基建設の渡邊隆さんが言うように、古い個人住宅を保育施設、宅老所や公共借家などに転用し易くするなど、補修することで、住宅を長く使う社会システムをつくっていくことが必要だろう。
(2005/3/25:JANJAN)
「木組みの家」の復権(7)耐震性、経済性
 これまで、「伝統的構法」の木組みの家が優れている理由として、木の湿度調整機能をうまく活かしカビやダニの発生しにくい健康的な家を造れること、メインテナンスがしやすく修理しながら長く住むことができ、持続可能な社会の要請に適うことなどをあげた。
では、耐震性、耐火性、経済性という点ではどうだろうか(「職人がつくる木の家/いざという時、心強く」)。
 前に書いたように伝統的な軸組構法は脆弱だという認識から、建築基準法では、筋交いを入れたり、接合部を金具で固定しなくてはいけないという考え方をとり、こうした基準法に沿う「在来構法」が軸組構法の主流になった。こうした経緯からすると、「在来構法」は「伝統構法」より耐震性が勝っているというように思いがちだが、実際はそうではないようだ。
 木住建の宮越喜彦さんが語っているように、阪神大震災の被災住宅について詳しく調べると、「伝統的構法」のしっかりした木組みの住宅は「ひしゃげていても、壊れない」ので「その中にいる人が押しつぶされない空間を保つ」という点で安全性が高いことがわかってきた。
 筋交いを入れ接合部を金具でとめた「在来構法」は剛構造なのに対して、木と木を組んで互いに支え合う「総持ち」で成り立つ「伝統的構法」は力が分散する柔構造だと言えるだろう。
 剛構造の「在来構法」の家はある程度までの大きさの地震には耐えるが、それを超える地震だと壊れてしまう。柔構造の「伝統的構法」は、ひしゃけだり傾いたりするが、粘り強く激震で傾いてもなかなか倒れない(TSウッドの倒壊実験)。また、「伝統的構法」は傾いても、もとに戻して修理して住むことができる。
 また、耐火性という点では、木造住宅は、火がつきやすいという特徴をもつ。しかし、十分な厚みのある木を使えば、火事になっても表面は燃えても内部の温度が高くなるまでには時間がかかるので、逃げ出しやすい。太い柱や梁を使う「伝統構法」の木組みの家はその意味で安全性が高い。火事の場合、石油系の素材が燃えた時に出る有毒ガスで命を失うことが多く、ビニル・クロスや新建材を多用する家は、この危険が大きい(「職人がつくる木の家/火の用心」)。
 これまで書いてきたように、木の良さを活かした本格的な木組みの家は、多くの点で優れた特徴をもつ。残る問題は価格ということになる。
 「伝統的構法」の木組みの家の坪あたり単価は、「在来構法」に比べて高めになる。本格的な木組みの家は、木材を倍以上使うので、素材費用がかかる。しかし、建設費用のうちで素材の割合はそんなに高くないので、これがコスト高の一番の要因になる訳ではない。一番大きいのは、本格的な木組みの家には大工の手間がかかるという点だ。
 大工の中村武司さんによると、坪あたりの人工(にんく)は、住宅メーカーの家では2〜3人工、「在来構法」では5〜6人工に対して、「伝統的構法」では8〜10人工かかると言う。
 その結果、「伝統的構法」の場合の坪当たり単価は、例えば62〜63万円/坪(滋賀県、岩波正さん)、70〜80万円/坪(愛知県、丹羽明人さん)といった数字になる。「在来構法」に比べて高めだが、耐用年数が長い点を考慮に入れれば決して高くないと言えるだろう。
(2005/03/28:JANJAN)
「木組みの家」の復権(8)木のクセを活かす職人の技
 この連載の第2回目「林業地域からの流通革新」に述べたように、林業地域の人たちと都市生活者、設計者、職人さんが集まって、これからの林業と住宅のあり方について議論を重ねていくと、「木の良さを活かす家」を建てることが健康に良いだけでなく「山を守ることにもつながる」という結論に達する。そして、「木の良さを活かす家」とは、どんな家かを探っていくと、この連載のテーマにした「伝統的構法」の木組みの家に到達する。
 「伝統的構法」の家を増やしていくことが、なぜ「山を守ることにもつながる」かと言うと、本格的な木組みは、素材としての木の特質をよく知ってそれを活かす技法なので、素性がよくわかる国産の樹が適しているからだ。それとともに、「伝統的構法」は、「在来構法」に比べてしっかりした材木をたくさん使うので、木の需要も大きい。
 これまで辿ってきたように林業地域の秋田の「モクネット」や徳島の「TSウッドハウス」と都市側の設計士、職人さんの「木の家ネット」が連携して、国産の木を活かす木組みの家の復権を進めていくという展開がおきている。この過程は、「持続可能な発展への転換」を実現していく先行例としても注目に値する。
 過去の「ウェブ探検」の連載「工業化以後の手仕事(2)持続可能な生活文化」で、「持続可能な発展への転換」のシナリオを鮮明にするためには、さまざまなテーマの結びつき方をはっきりさせることが重要で、なかでも「持続可能な生活文化」について煮詰めることが大事な要になると指摘した。今回の連載でとりあげた本格的な木組みの家の復権は、日本列島における「持続可能な住・生活文化」とは何かという問題に対する基本的な解と言えるだろう。
 従来、建築基準法が「伝統的構法」の木組みの家を復活させる上での障壁になってきたが、上のような動きに対応して国土交通省も「持続可能な発展」にかなう構法として「伝統的構法」を評価する方向に考え方を変えつつあるようだ。
 「伝統的構法」は大工の棟梁によって継承されてきた職人的技法なのに対して、プレハブや2×4、「在来構法」は、規格化された部材を組み立てる工業生産的な技術であるという大きな違いがある。国土交通省はこれまで、工業生産的な住宅づくりをもっぱら後押しする考え方だったが、「持続可能な発展」という方向を踏まえて、職人的技法の価値も再評価しようとしているのだろう。
 家づくりの工業生産的な技術と職人的な技法の違いは、素材としての木の扱い方に明瞭に示される。工業生産的な技術では、規格化された均一な部品として扱えるように、木を集成材や木質パネルにすることを好む。それに対して、本格的な木組みの職人的技法では、木は均一ではなく、それぞれ個性やクセがあるのを前提に、それをうまく活かして部材どうしのよいバランスを生み出していく(「木の家」)。こうした長年の知恵に基ずく木を良く知る技法でないと、補修、改築をしながら長く住める家を造ることはできないという。
 「伝統的構法」をしっかり身につけた古民家工房の高橋義智さん(1969年生)は、「おれらの世代で伝統構法をやっている大工にとって、すぐ上の世代に、昔の技術を教えてもらえる先輩が、残念ながら少ないんだ」と言う。本格的な木組みの仕事をする機会が乏しい時代が長く続いたからだ。ようやく、「伝統的構法」が見直されるようになって、60歳以上の先輩に学び本格的な木組みの技量をもつ大工さんが、高橋さんたちの世代に増えつつある。
 これは、「持続可能な発展への転換」とともに起きる、働き方の変化のひとつを示唆しているではないか。
(2005/03/31:JANJAN)
「家は空気で差をつけろ――全館空調で快適空間、外断熱で結露防ぐ」
 住宅大手が「空気の質」を売りものにした戸建て物件を販売し始めた。一般に省エネをうたい断熱性や気密性を高めると、換気が悪くなる。設計や建材、機器を工夫し、断熱・気密性と換気の両立を目指す。温度・湿度の管理や清浄機能など、快適な室内環境が戸建て住宅の販売で大きな武器になってきた。
 積水化学工業が生産子会社、関東セキスイ工業(茨城県笠間市)の敷地に設けた「暮らしNAVIギャラリー」では、来場者が昨秋発売した木造住宅「グランツーユー」の基本性能を体感できる。
 見た目は通常のモデルハウスだが、空気の質の高さを訴える仕かけがちりばめられている。  不快空間と快適空間。1階の玄関から左に向かうとガラスで仕切った2つの部屋がある。室温はともに約28度だが、一方は湿度が約50%と「ハワイの平均的な環境」(積水化学)。もう一方は湿度が約80%で「一般的な日本の夏」を再現した。室温が同じでも湿度を下げれば不快さは格段に改善する。蒸し風呂のような不快空間からドアを隔てた快適空間に移ると、来場者は感嘆の声を上げる。
 グランツーユーは高気密・高断熱を基に全館空調システムを取り入れているのが特徴。各部屋だけでなく、廊下や洗面所など共用部分の温度・湿度も適切に管理できるように設計されている。3.3平方メートルあたり60万円からと、一般の戸建てに比べてやや高めだが、昨年10月の売り出しから今年1月末までの4カ月間の受注実績は300棟と、出足はまずまずという。
 温度差が5度以上ある場所を行き来すると生じやすい冷房病も湿度の管理で防げるという。「寝苦しい夜も設定温度を下げずに済み、翌朝に体調が悪くなることもない」。担当者の説明に来場者は大きくうなずく。
 冬場でも一定の省エネ性能を保ちながら、廊下やトイレ・風呂などと居室の温度差を3度以内に抑えられるという。一般の住宅では室内の温度差が8度に達することもあり、高齢や高血圧だとヒートショックが生じる懸念もある。
 「気密性や断熱性を高めると換気が気になる」と話す消費者は多い。そこでガラス張りの体感ルームの横には換気模型を置いている。高気密のためすきま風などに乱されることなく気流が作れ、「2時間で室内の空気を入れ替えられる」(積水化学)。
 日本臨床環境医学会によると、人間が一生涯に摂取する物質(重量比)で食べ物は7%、飲料が8%。実は最も多いのが室内空気で57%に達する。それだけに「健康維持には空気の質が重要になる」(積水化学)わけだ。
 換気システムはホコリを防ぐエアフィルター、アレルギー物質を不活性化させる「アレルバスター」搭載の花粉フィルター、窒素酸化物(NOx)などを取り除く脱臭フィルターの3つを取り付けた。「2階吹き抜け部のブラインドを上げて光が差し込んでもホコリが見えない」ことも売り物だ。
 東急ホームは昨秋、「EBH(根拠に基づく健康増進)住宅研究所」を設立した。全館空調は室温変動が小さく血圧が安定しやすいため、高齢・高血圧の人にも心筋こうそくの予防効果があるとの研究成果を公表した。高気密・高断熱により暖房時に床から天井(2.5メートル)までの温度差が平均0.4度で、快適さを訴える。
 昨年10月発売のツーバイフォー住宅「ミルクリーク・グランド」(3.3平方メートルあたり65万円から)では、この全館空調に加えて、ホルムアルデヒドを吸着・固定化する壁や天井の塗材、同じく吸着・分解するカーペットなどを装備した。シックハウス症候群を防ぐ「EBH健康建材」の認知度向上も急いでいる。
 大和ハウス工業は1月22日発売の鉄骨住宅「ステイトメント スプレモ」(3.3平方メートルあたり58万円から)など一部の鉄骨住宅や、大半の木造住宅で「外断熱工法」を採用している。簡単に言うと、内部結露の発生を防ぐことでカビやダニの発生を抑え、室内の空気環境を改善できる。
 全館空調などは住宅の価格押し上げ要因になり、購入者は主に建て替え層だ。土地取得の費用が必要な1次取得者とは異なり、建物により多くの資金を投じる余裕がある。積水化学マーケティング部では「飲料水にカネを出す消費者は室内の空気環境にも対価を支払うようになるはず」と期待する。
(2005/3/30:日経ネット/2005/2/10:日経産業新聞)
「シックハウス」対策ウレタン 日本でも販売へ
新しいウレタン原料を使った製品
 車のシートや家具、断熱材などに使われるウレタン原料から、揮発性の有機物質を大幅に減らすことに、ダウ・ケミカル(本社・米国)が成功した。ポリオールという合成樹脂の一種で「ボラノール ボラクティブ」の名でことしから日本国内でも販売を始める。
 揮発性の有機物質は、シックハウス症候群の原因になる。この製品は原料からポリウレタンを作るときの触媒機能を内蔵しているため、アミンなど揮発性の触媒を使う必要がない。揮発性の有機物質を五分の一程度にまで削減できるという。このほか、塩ビシート変色の防止などの利点もある。製品価格はやや高くなるものの、同社では年間十二万トンの国内市場のかなりの部分が新製品で置き換わるとみている。
(2005/3/22:東京新聞)
電磁波を食べるサボテン!?【神奈川県】
電磁波を吸収して育つ不思議なサボテン、セレウスペルヴィアナス。
− 巷(ちまた)でちょっと話題になっているサボテンがある。その名はセレウスペルヴィアナス。なんと電磁波を吸収して育つらしい。
 観葉植物が置いてある店に行くと目立つように展示してあった。モコモコとした姿が愛らしい。NASA(米航空宇宙局)の調査で電磁波を一番吸収することが分かり、ニューヨーク証券取引所での実地試験でも効果が確認されたという。高さ10cmくらいのもので\1000程度。水やりは10日に一度ほどでOK。手間もかかりません。
 この記事を読んでいるあなた、そうあなた。PCの横に置いて、電磁波を食べてもらって下さい。健康にもいいですし、癒(いや)されますよ。
(2005/3/21:ライブドア・PJニュース・神奈川)
“呼吸する家”を開発-大和高田の石田工務店
   住宅建材に含まれる有害な化学物質によって頭痛やめまい、喘息やアトピー性皮膚炎の悪化などに悩まされるという「シックハウス症候群」が社会問題となっているが、新たな住宅工法によって改善を図る工務店が大和高田市にある。同市日之出町の石田工務店(石田善規社長)で、住宅内部の通気性をよくする「WB工法」を採用することで、有害物質を戸外に逃がすことで効果を上げている。省エネ住宅としても優れ、“呼吸する家”として注目されている。
 見学会など詳しい問い合わせは、同工務店、電話0745(53)2913。
(2005/3/11:奈良新聞)
YKK AP、エコプロダクツなどの商品パンフレット「ECO MESSAGE 2005」を発行
エコプロダクツ紹介を趣旨とした商品パンフレット
2005年版エコメッセージを発行
 日本初の窓メーカーYKK AP株式会社(社長:吉田忠裕、本社:東京都千代田区、資本金:100億円)は、このたびエコプロダクツ(環境配慮型商品)紹介を趣旨とした商品パンフレット「ECO MESSAGE 2005」を発行いたしました。
 弊社のエコプロダクツについて広く一般のみなさまにご理解いただくために制作したもので、2004年版に続き第4版となります。
 今回は、紙面を一新し、エコ商品のご紹介だけでなく、ものづくりの古きを訪ね、YKK APの設計思想との共通点を紹介しながら新しいライフスタイルの提案を「リフォーム」「シックハウス対策」「ユニバーサルデザイン」「防犯」などユーザーの視点で関心が高いテーマごとに編集いたしました。みなさまと一緒に、新たな快適スタイルを模索してみる手立てになれば幸いです。
 私達は、今後も商品を通してさまざまな視点でエコメッセージを伝えると同時に、これからの暮らし方にふさわしい商品の提供を続けてまいります。
< お問い合わせ先 >
 YKK AP株式会社 環境施設部
 TEL:0765−54−8532  
 FAX:0765−54−8519
(2005/3/8:日経新聞社・プレスリリース)
五洋建設、脱臭システムで攻勢−工場・施設の企画提案
 五洋建設は自社開発の脱臭技術を活用した企画提案型の建築受注活動に乗り出す。
 光触媒を使った脱臭システム、医療・製薬施設向けのホルマリン除去装置、畜舎や堆肥工場向けの脱臭システムなどを相次いで開発して製品構成を充実。
 単体システム販売などで実績も出てきたことから、脱臭システムを組み込んだ食品・製薬工場や医療施設の企画提案を進めて受注を目指す。
 好調な建築分野で高付加価値化を図り、さらなる受注拡大を進める。
 五洋建設は90年代から、シックハウス対策の住宅換気システムを手がけている経験を生かして非住宅分野に進出。
 01年には光触媒を使った脱臭システムを開発。
 03年には医療・製薬施設用ホルマリン除去装置を開発した。
 消毒用のホルマリン燻蒸(くんじょう)後のガスを常温分解できるシステムで低濃度と高濃度用の2機種を商品化した。
(2005/3/3:産業ニュース)
みなと銀行、「無添加住宅」と提携し金利を優遇した住宅ローンの取り扱い開始
株式会社無添加住宅との住宅ローン提携について
〜「無添加住宅」の建築、購入に対して金利を優遇します〜
 みなと銀行(神戸市中央区、頭取 西村忠禧)は、株式会社無添加住宅(神戸市東灘区、社長 秋田憲司)と提携し、平成17年2月22日(火)より、金利を優遇した提携住宅ローンの取扱いを開始しますのでお知らせいたします。
 みなと銀行は、人や環境に配慮した住宅に関して、金融機能を通じて貢献できないかを模索していました。
 一方、株式会社無添加住宅はシックハウス症候群に悩む方々から高い評価を受け、人にも環境にも優しい住宅の普及に努めています。
 今回の提携は株式会社無添加住宅の人体に配慮した住環境への取組を、みなと銀行が提携住宅ローンを提供することによりサポートするもので、株式会社無添加住宅の代理店が建築する無添加仕様の住宅に対して金利優遇を行うものです。本提携ローンは『無添加住宅』を新築または購入される方々の安全な暮らしの実現と、環境配慮活動を支援することを目的としています。
 今後も、みなと銀行は地球環境や人に配慮した地元企業や、お客さまを応援していきたいと考えています。
【無添加住宅専用金利優遇の内容】
(1)対象     (株)無添加住宅の代理店が建築し、無添加住宅である認定を受けた住宅但し、当行営業区域内で建築される建物に限ります。
(2)優遇内容  変動金利、固定金利選択型、いずれの金利を選択されても、無条件で全期間基準金利より1.0%を優遇します。
(3)その他   提携住宅ローンの概要は別紙
(2005/2/21:日経プレスリリース)
アビリット、8分で室内有害物質を測定できるVOC濃度測定器
 アビリット(本社:大阪市)は2005年2月18日、トルエンなどのVOC(揮発性有機化合物)について、短時間で高精度の測定ができるポータブル濃度測定器「VOCアナライザEGC-2」を発表した。住宅メーカーの現場でのVOC濃度測定、材料・製品のVOC放散量測定などの利用を想定している。価格は115万5000円(税込み)。3月1日発売。
 VOCは大気汚染や人体への悪影響が懸念される物質で、シックハウス症候群の原因と考えられている。厚生労働省、国土交通省、文部科学省はVOCを室内空気質の測定対象物質に指定している。
 VOCアナライザEGC-2は、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレンの4種類のVOC濃度の測定に対応。持ち運び可能で、8分間という短時間で結果が出るのが特徴という。同社の口臭測定器「オーラルクロマ」と同じく半導体センサーを利用している。各省庁はGC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析計)法を標準測定法に指定しているが、測定結果が出るまで数週間かかるのが普通だった。
 測定範囲は0.005〜1.0ppm。高感度の半導体センサーや、キャリアガスに高純度エアを使用することで、GC/MS法と同レベルの測定精度を実現したという。単体での測定のほか、パソコンに接続して結果のグラフ表示もできる。また、GC/MSの標準的機器の10分の1の価格で導入できるとしている。本体寸法は幅280×高さ130×奥行き400mm、重さは5.8kg。(鴨沢 浅葱=Infostand)
(問い合わせ先)
アビリット 医療環境事業本部 営業業務部 電話06-6120-2200
(2005/2/21:日経BP)
まるやま塗装(八戸)が光触媒施して造花
 まるやま塗装工業(八戸市)は、光触媒のコーティングを施したアートフラワー(造花)を製品化した。八戸市のチーノ七階にあるアトリエ「小さな花」で販売している。悪臭の分解や抗菌作用があり、シックハウス症候群の防止にも効果があるという。
 光触媒は、酸化チタンに太陽光や蛍光灯の光が当たると、還元反応で、有機物の分子結合を分解除去する作用。同社は「ほこりが付きにくく、置くだけで半永久的に効果がある。贈答用やお店のディスプレーに最適」としている。
(2005/2/21:デーリー東北新聞社)
ナノブロッカー製品技術協議会が正式スタート
 環境への負荷の低減と環境改善を目的に開発された新触媒による環境改善コーティング剤「ナノブロッカーシリーズ」の施工・販売店で組織する「ナノブロッカー製品技術協議会」が1月28、29日、静岡市の清水テルサで第1回の会合を開き、正式にスタートした。
 ナノブロッカーシリーズの環境改善への有効性に賛同した企業が全国から15社集まり、今後の活動に向けて各県の支部など組織の骨格を固めた。
 会長には本部となるサンメンテナンスの室井潔雄社長が就任、副会長は佐野塗装(静岡県支部)の佐野範宜氏とソエル(北海道支部)の牛嶋章博氏が選ばれた。また、品質規格委員長に電荷移動型触媒(CT触媒)の開発者である市村昭二理学博士が就いた。
 協議会は、「商品だけを流通させるのではなく、商品(品質)管理と施工指導を徹底して行い、適切な施工が行われるよう管理していく」ことを基本に、各支部単位で運営し、施工した実績を本部でとりまとめ、ネット上で情報やデータをメンバーが共有し、今後の改善や施工技術の向上を図っていく。このため、共通のホームページを立ち上げることとした。
 また、営業マニュアル、施工マニュアルなどといった詳細についてまとめるため、組織、企画推進、開発、施工技術の4委員会を設けた。
 29日には、市村博士によるCT触媒についての勉強会が行われ、製品を取り扱う上で欠かせない基礎知識、CT触媒の有効性、技術と特徴などを学んだ。
 「すべての会員が、環境への有害物質を含めての基礎知識と、ナノブロッカーについて熟知することが、正確な情報をユーザーに伝え、確かな施工を行うことができることにつながる」として勉強会を行った。
 その後、認定試験を行い全員が合格。一人ひとりにCT触媒部門取扱認定者として認定証が渡された。
 ナノブロッカーシリーズは、消臭、抗菌、防カビ、シックハウス対策、防汚、防藻など多方面の用途で注目を集めている。
 シリーズのうちナノブロッカーは、揮発性化学物質(VOC)などを光の存在なく、また活性酸素の発生がなく分解、消臭機能を有する電荷移動型触媒(CT触媒)と406種類の抗菌スペクトルを持つ、防菌・防カビ・防藻剤を常温液体セラミックなどにより定着させるコーティング剤である。
(2005/2/10:建通新聞社・静岡)
素材感生かしてエコロジー 対馬ひのき家具 産地と協力、アダルが発売
 家具製造販売のアダル(福岡市)は、対馬ヒノキ産地の対馬森林組合(長崎県対馬市)と協力し、素材感を生かした「対馬ひのき家具」シリーズを今月、売り出した。間伐材を使いせっけん水で仕上げた環境に優しい商品。産地にこだわった家具は同社では初めてで、産地側も「対馬ヒノキのブランド確立につながる」と期待している。
 「対馬ヒノキ」を売りだそうと、対馬森林組合が二〇〇三年四月に実施したデザインコンペ(競技会)が発端。応募作品をアダルが試作し、入賞作品を同年十一月の東京国際家具見本市に出展したところ好評だったという。家庭用家具づくりを決め、コンペ応募作にオリジナル商品を加え、テーブルやイス、ソファ、和風家具など約七十アイテムを商品化した。
 特にこだわったのが仕上げ。有機溶剤などの化学物質が原因で体調を崩すシックハウス症候群が社会問題化しているため、肌に優しく、北欧などで家具の仕上げに使われているソープ・フィニッシュを選んだ。
 ソープ・フィニッシュは、せっけんを木材の表面に塗り込む方法で、汚れやすいため定期的なメンテナンスが必要だった。「対馬ひのき家具」には、新たに開発された汚れなどに強いせっけん処理液を使い、ヒノキの色や肌合いをそのまま残すことに成功した。汚れても再仕上げすることで長く使えるという。
 すでに対馬からヒノキの間伐材を運び、福岡県宇美町の工場や中国・上海の子会社で生産中。アダルは「対馬ひのき家具」カタログに再生紙や環境に優しい大豆インクを使うこだわりよう。二月中旬から、全国の設計事務所やインテリアコーディネーターなどにカタログを配布し、エコロジー家具の売り込みに力を入れる。
(2005/2/10:西日本新聞)
昭和電工子会社
「ブルッカイト型酸化チタン」を使用した脱臭装置「パナフィーノ」を発売

 昭和電工株式会社(高橋恭平社長 以下、昭和電工)の連結子会社である国際衛生株式会社(本社:東京都港区 亀井良祐社長)は、昭和電工が2002年に世界で初めて量産化に成功した高活性の光触媒ブルッカイト型酸化チタン(製品名:「ナノチタニア(R) NTB(R)」)を使用して、株式会社安斉管鉄(本社:神奈川県横浜市 安斉行男社長)と共同で脱臭装置「製品名:パナフィーノ(R)」を開発し、この度本格販売を開始いたしました。
 ブルッカイト型酸化チタン「ナノチタニア(R) NTB(R)」は、光触媒として一般的に知られているアナターゼ型酸化チタンに比べ、微弱な光でも高い光触媒活性を示します。
 「ナノチタニア(R) NTB(R)」には、粒径10nm(ナノメーター、1nmは10億分の1m)のブルッカイト型酸化チタン粒子を均一に分散させた「ゾル」と、このゾルと、光触媒効果で劣化しない無機系バインダーとを組み合わせた「コーティング材」の2種類の製品があり、コーティング材は防汚、消臭、抗菌などの目的で内外装、蛍光灯、遮音壁などの用途に使用されています。
 今回本格販売を開始した「パナフィーノ(R)」は、フィルターの基材となる特殊な金属上に、上記の「ナノチタニア(R) NTB(R)」の「コーティング材」を使用しています。
 「パナフィーノ(R)」は、アナターゼ型光触媒を使用した従来型の脱臭装置や空気清浄機に比べて以下の特長を有します。
1.脱臭・分解能力が2倍以上に格段と向上。
2.フィルターが特殊な金属のため耐久性が向上(従来型は、紙や不織布などが主成分)。
3.光触媒による自浄作用により、フィルターの清掃作業の頻度が低い。
4.装置がシンプルな構造となりフィルターの清掃、ランプの交換作業が容易。(従来型はフィルターがハニカム構造等のため、専門技術者によるフィルター・フィルターユニットのワンウェイ交換やUVランプのメンテナンスによるランニングコストが発生) 
 「パナフィーノ(R)」は生活臭、ペット臭、食品臭、食品腐敗臭などの臭い成分の分解だけでなく、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOC)や空中浮遊有機物の分解にも能力を発揮します。そのため、病院、老人ホーム、喫煙室の消臭の他、化学品工場、実験動物舎などでの使用が可能です。
 「パナフィーノ(R)」は、標準のスタンドタイプ以外に、壁掛けタイプや天井埋め込みタイプなど、使用方法に応じた設計が可能です。さらに、廃水処理や産業廃棄物処理の工業用途向けに、ブルッカイト型酸化チタンを使用したフィルターを応用し、脱臭ユニットの設計・製作が可能です。
 国際衛生株式会社は、昭和21年の創業以来、防虫防鼠を中心に環境衛生事業を展開しております。環境衛生事業のさらなる深化のため、空気と水の浄化事業への取り組みを開始し、その第一弾としてこの度、脱臭装置「パナフィーノ(R)」の本格販売を開始しました。
 なお、「パナフィーノ(R)」販売価格は、標準的なスタンドタイプで330千円/台の予定であり、2005年に2億円、5年後4億円の販売を目指します。
◆お客様お問合せ先:国際衛生(株)事業開発部  03−3451−4158
(2005/2/3:日経プレスリリース)
武雄市のNPO法人、空き家バンク事業
 田舎暮らしを求める人に空き家、空き地の情報を提供する「空き家バンク」事業を武雄市のNPO法人「循環型たてもの研究塾」が、スタートさせた。高齢化が進み、独居住宅や空き家が多くなった地域の過疎化対策が目的。十九日には同市若木町の空き家の状態などを調査した。
 同研究塾は、若木町で自然素材の家造りや建物の再利用に取り組んできた。今回、ほのお博記念地域活性化事業の助成を受け、町内に三十五軒ほどある空き家と空き地の持ち主や状態を調査し、物件を求める人に無償で情報提供する。代表の山田信行さん(58)は「これからは人口減少社会。過疎は若木町だけの問題ではない。こつこつと実績をつくり、動きを広めていきたい」と語る。すでに物件の問い合わせが来ている。また、空き家一軒のリフォームも進めており、改装が終わり次第、問い合わせに応じるという。
 登録要請は同町内に限らず、県内全域でコーディネートできるようなシステムを目指す。将来的には「シックハウス対策を中心とした自然素材を使ったリフォームなども提案していきたい」としている。「空き家バンク」は、奈良県明日香村や熊本県天草町などが取り組んでいる。定年を迎える団塊の世代を中心に田舎暮らしの需要が増えているという。天草町は昨年からスタート。これまで約四十件の問い合わせがあり、二件の貸借が成立した。問い合わせは同研究塾、電話0954(26)2414。
(2005/1/20)
ホタテで健康寝具/大野・三本木工芸が開発
 大野村の特産品「大野木工」で知られる三本木工芸(三本木烈社長)が、ホタテ貝殻の粉末を含んだパルプ繊維の不織布を使用した天然素材100%の安眠枕と健康シーツを開発、販売を開始した。八戸工業大の研究チームが、ホタテの貝殻には有害物質の分解などに大きな効果があることを証明しており、中面に使用したアカマツの精神安定、ボケ防止効果と合わせて「寝ながらにして健康になれる」と三本木社長は胸を張る。
 ホタテ貝殻の有用性については、八戸工業大の小山信次教授を中心としたチームの研究で、シックハウスなどに影響する有害物質の分解作用や強力な除菌、抗菌、防虫機能があることが明らかにされている。全国では、除菌スプレーや水虫薬、住宅の内装などに生かされている。
 三本木社長は、親交のあった小山教授のアドバイスを受け、ホタテの貝殻を健康寝具に生かそうと開発に着手。○・二ミリほどに削った南部アカマツと、ホタテ貝殻の粉末を含む木質パルプ繊維の不織布を中に入れた安眠枕とシーツを完成させた。アカマツとホタテ貝殻の作用に加え吸湿性、断熱性にも優れ、快適な睡眠が期待できるという。
 寝具は大野村デザインセンターのほか、全国の百貨店で開催している大野木工展でも販売する。 三本木社長は「寝ているうちにいろんな作用が働いて健康になれる。一度使えば良さが分かると思う。介護の必要なお年寄りなどにぜひ使ってほしい」と話した。
(2005/1/15:デーリー東北新聞社)
広角可動センサー使って気流を制御するルームエアコン、三菱電機
 三菱電機は1月13日、広角可動センサーを搭載したルームエアコン「三菱ルームエアコン霧ヶ峰 ムーブアイ」4シリーズ31機種を1月24日より順次発売すると発表した。当初月産台数は合計で3万7000台を予定する。
 独自開発の広角可動センサー「ムーブアイ」は、赤外線を使ってエアコンから離れた地点の温度を計測する。左右150度の範囲で角度を変え、床や壁などの温度を計測、この情報をもとにエアコンが気流を制御、体感に適した温度に調整する。
 最近の住宅に多い、ワイドリビング、リビング・ダイニング、高天井、二間続きの部屋など、広い空間で生じる温度ムラを解消できる。また冷暖房効率も向上するため、従来製品に比べ消費電力を30%削減できるという。
 価格は、最上位モデルであるZシリーズが25万2000円〜68万2500円。ほかはオープン。多機能モデルのZシリーズおよびCSシリ−ズには、新型の導電性触媒を組み込んだ脱臭装置「スーパープラズマ脱臭ユニット」を搭載する。空気中に浮遊するアンモニア、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、硫化水素といった悪臭の原因物質や、シックハウスの原因とされるホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質を分解/除去する。
■問い合わせ先
三菱電機お客さま相談センター 電話:0120-139-365
(2005/1/14:日経BP)