本マニュアルの発表にあたって
このたび本会から「福祉のまちづくり建築ディテールマニュアル」を発表する運びになりました。本マニュアルは、平成6年度・7年度の2年度にわたり本会で「福祉マニュアルディテール研究委員会」を運営し、その成果としてまとめたものです。
本会では、福祉のまちづくり関連として、大阪府から「大阪府福祉のまちづくり条例」制定にかかわる「福祉のまちづくり条例設計マニュアル作成業務」・「府有建築物福祉整備改善計画策定調査業務」等受託業務を執行し、また大阪府・大阪市から 「 大阪・心ふれあうまちづくり賞運営業務」を受託して、福祉のまちづくりに深くかかわってきました。
今回、福祉のまちづくりに携われる設計者の方々の設計業務推進に役立てるため、「大阪府福祉のまちづくり条例設計マニュアル」に記載されていないものの中で、特に寸法・材料・機器等企業名にかかわりあるものについて、関係者に提供出来るものを選び、登載することといたしました。
本マニュアルは、2年間の「研究委員会」の成果で、まだまだ満足のいくまでに至っていませんが、大阪府の方で「条例設計マニュアル」を改訂される機会に、本マニュアルを発表させていただくことといたしました。
今回の成果に携わられた「研究委員会」の方々に深く敬意を表し、本マニュアルが有意義に関係者に役立つことを願いまして、発表の言葉といたします。
設計者のみなさまへ
福祉のまちづくりとは、だれでもが人間として尊重され、健康で文化的な生活ができるまちをつくることです。近年の、巨大で高度化された都市社会の中では、ともすると、能力のすぐれた人を基準においた設計原理が支配し、高齢者やこどもたちなど心身に障害のある人たちのことは忘れがちとなります。
能力のある人なら難なく便利に使えるものであっても、能力が低下したり、未発達な人たちにとっては、それがバリア(障壁)となって、建物全体が使えなかったり、このバリアが集積する都市には住めなくなったりもします。人間は本来、みな平等であり、だれでもが、どこにでも、自由に住む権利があります。からだの一部分の能力が低下したり、未発達だからといって、全人格が否定されてはなりません。
近年は、この福祉のまちづくりの理念が理解され、多くの人たちの努力によって、これが推進されるようになりました。
たいへん喜ばしいことで、大阪府においても「福祉のまちづくり条例」を制定し、どのような施設・設備が、だれでもが使いやすいかの基準を示しています。
この基準によりますと、これまでの能力のある人たちが使っていたものと大きく変わっています。たとえば、便所についてみますと、これまでは狭くて薄暗いのが普通でしたが、車いす使用者用の便所では、広くて明るいし、立ち居が楽な腰掛け式便器に、立ち上がるときに使う支持棒や手すりもつけられています。なかには、おしめを取り替えるベッドがあったり、汚れた部分を洗い流せるシャワーまでついています。いろいろと配慮され、赤ちゃんからお年寄りまでのだれでもが使えそうです。
しかし、まだまだ改善の余地があります。実際の計画や設計をする場合には、さらに検討を加えて、もっとよいものをつくってもらいたいと思います。よろしく、お願いします。
平成8年8月
福祉マニュアルディテール研究委員会顧問 荒木 兵一郎
はじめに
現在の都市・建築空間には、日常生活における行為と動作に一定のハンディを負っている高齢者・障害者等が空間のハード面の状態で、段差や狭さが障壁となり、利用を享受できていないことが多くあります。
人々の理解と手助けで解決されることが大切でもありますが、物理的な面で、その障壁がとり除かれて、高齢者・障害者等が安心して気がねなく外出し、種々の建物を利用できる条件を整えていく必要性が高まっています。
高齢者、障害者だけでなく、全ての人々が暮らしやすい社"会づくりが、物理的・意識的な障壁を除いていく「バリヤーフリー」の実践と、ノーマライゼーションの理解で実現に向かっています。
大阪府の条例をはじめ、現在、各地でも福祉のまちづくり条例として、また、国のいわゆるハートビル法としてとりあげられ、実践にうつされつつあります。
そのようななかで直接、建築空間の設計に携わる建築設計者の役割は重くなっています。ここでは条例等に示される技術基準、またそれに関連する設計資料など、目にするものも多くなっているわけですが、設計上の参考となるディテールや材料の選択に直接に関係する資料の編さんを試みました。
個々のディテール、材料の選択(本マニュアル記載のディテール部品等において、寸法等でより実際的な意味あいから、一部の企業の部品・記号を記入している個所がありますが、参考として活用。)に利用されるほか、意図をくみとっていただき、より高いレベルでバリヤーフリーが設計の場で実践されることを期待しております。
福祉マニュアルディテール研究委員会
CAD-DATA
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No. | 内容 | ファイルサイズ |
1 | 本マニュアルの発表にあたって | 6,621 |
2 | 表紙:福祉のまちづくり | 7,241 |
3 | 設計者のみなさまへ | 5,004 |
4 | はじめに | 6,807 |
5 | 目次 | 5,155 |
6 | 概要編 | 5,008 |
7 | 建築ディテールの構成 | 7,501 |
8 | 建築ディテールの構成2 | 6,534 |
9 | 概要編 | 14,663 |
10 | 2.ヒューマンアクセス編 | 5,385 |
11 | 道路から敷地、通路 | 11,522 |
12 | ゲート・側溝の設計 | 15,705 |
13 | 歩行者専用通路の設計 | 7,868 |
14 | Pスロープの設計1 (高低差10㎝以上) | 86,254 |
15 | スロープの設計2 (高低差10㎝以下) | 18,413 |
16 | スロープ・手すり | 11,046 |
17 | 誘導ブロックの設計1 | 15,364 |
18 | 誘導ブロックの設計2 敷設基準 | 21,651 |
19 | 誘導ブロックのメーカーと仕様 | 7,602 |
20 | ポーチの設計 | 11,097 |
21 | 基本的な考え方 | 11,089 |
22 | 玄関庇の設計 | 36,416 |
23 | (例 :ステンレスサッシ内蔵型) 出入口の設計(2) | 17,035 |
24 | 玄関マットの設計 | 30,230 |
25 | 玄関ホール | 25,227 |
26 | 受付カウンター・案内板の設計 | 26,935 |
27 | 触知案内板の設計 | 15,301 |
28 | 2-4 廊下 基本的な考え | 12,072 |
29 | 廊下・スロープの設計(屋内) | 17,368 |
30 | 廊下手すりの設計 | 20,901 |
31 | 廊下の巾木の設計 | 11,774 |
32 | 廊下内部などの柱のコーナー設計 | 13,101 |
33 | 2-5 階段 | 14,321 |
34 | 階段手すりの設計1 | 18,768 |
35 | 階段手すりの設計2 | 31,730 |
36 | 段鼻ノンスリップの設計 | 9,942 |
37 | 2-6居室 基本的な考え方 | 9,444 |
38 | 2-6居室 出入口扉の設計 | 20,425 |
39 | 扉のメーカーと仕様 | 14,089 |
40 | 2-7駐車場 | 9,561 |
41 | 2-8材料メーカーリスト | 9,456 |
42 | 2-8材料メーカーリスト | 9,329 |
43 | 3.オートアクセス編 | 5,139 |
44 | 昇降機関係 ハートビル法(通称)規定 | 7,563 |
45 | 3-2福祉型エレベータ等各仕様 | 11,895 |
46 | 福祉型エレベータ等各仕様 | 10,324 |
47 | 福祉型エレベータ等各仕様 | 9,954 |
48 | ホームエレベーター(3人乗り) | 19,136 |
49 | いす式階段昇降機 | 32,888 |
50 | 動く歩道 | 19,833 |
51 | 車椅子用ステップ付エスカレーター | 23,253 |
52 | エレベーター(11人乗り) | 29,360 |
53 | エレベーターロープ式 | 26,925 |
54 | 段差解消昇降機 | 20,548 |
55 | 3-3福祉型昇降機メーカーリスト | 12,607 |
56 | 3-4福祉型エレベータ価格表 | 8,776 |
57 | 3-5エスカレーター他価格表 | 7,795 |
58 | サニタリー編 | 5,640 |
59 | 基本的なブースのディテール | 5,696 |
60 | 4-1(1) | 16,433 |
61 | 4-1(2)トイレブース・洗面所のディテール 1.杖使用者対応トイレブース | 35,772 |
62 | 4-1(2)車イス使用者が利用可能な 便所・洗面所 | 14,624 |
63 | 4-1(2)平面図・立面図 | 48,024 |
64 | 入口方向Aプランの詳細図 | 33,271 |
65 | 4.杖使用者対応小便コーナー | 18,059 |
66 | 4-1(2)車イス使用者が利用可能な 便所・洗面所 | 14,013 |
67 | 入口方向プラン・詳細図 | 59,543 |
68 | 4-1(3)車イス使用者が利用可能な 便所・洗面所 | 27,079 |
69 | 入口方向Aプランの詳細図 | 50,920 |
70 | 4-1(5)出入口(自動ドア) | 26,982 |
71 | ⑧出入口(手動自閉式引戸) | 24,396 |
72 | ⑨出入口床 (無段差の納り)ディティール | 14,580 |
73 | 4-1(4)車イス使用者が利用可能な 便所・洗面所レイアウトの検証 | 23,035 |
74 | 4-2機器類等の目次 | 5,920 |
75 | 4-2 機器類等 (1)大便器まわり(1)、(2) | 78,898 |
76 | 4-2 機器類等 (1)大便器まわり(3) | 27,743 |
77 | 4-2 機器類等 (2)小便器まわり(1)、(2) | 23,315 |
78 | 4-2 機器類等 (2)小便器まわり(3) | 28,607 |
79 | 4-2 機器類等 (3)洗面器まわり(1)、(2) | 29,365 |
80 | 4-2 機器類等 (3)洗面器まわり(3) | 16,012 |
81 | (4)手すり(1) 2 | 25,726 |
82 | (4)手すり(1) 1 | 34,664 |
83 | 手すり(2) | 14,764 |
84 | 手すり(3) | 55,878 |
85 | (5)その他の器具 | 25,304 |
86 | 4-2 機器類等 (5)その他の器具a.b.c | 25,714 |
87 | (5)その他の器具(2)、(3) | 6,391 |
88 | 4-2 カラン(浴室) | 20,022 |
89 | d 鏡、e昇降便座 | 63,370 |
90 | f トイレガード | 23,104 |
91 | (6)サイン等 a 表示灯、b国際シンボルマーク | 16,214 |
92 | 4-3目次 | 5,282 |
93 | 浴室バスユニット | 23,674 |
94 | 浴室バスユニット | 25,727 |
95 | 洗面・ベンチチェスト | 16,959 |
96 | ミニキッチン | 18,894 |
97 | スイッチ、コンセント類 | 8,892 |
98 | スイッチ、コンセント類 | 24,982 |
99 | スイッチ、コンセント類 | 25,674 |
100 | スイッチ、コンセント類 | 28,146 |
101 | 特殊空調 | 106,213 |
102 | 輻射空調システム | 33,707 |
103 | ガス遠赤外線暖房 | 15,626 |
104 | パネルラジエーター | 16,328 |
105 | 4-4-1福祉型衛生機器メーカーリスト | 9,022 |
106 | 4-4-2福祉型衛生機器メーカーリスト | 10,820 |
107 | 資料編 | 5,179 |
108 | 5-1高齢者、障害者の基本的事項 | 11,824 |
109 | 5-1その他の分類方法(a) | 8,225 |
110 | 5-1その他の分類方法(b) (c) | 8,756 |
111 | 5-1その他の分類方法(d) | 6,449 |
112 | 車椅子詳細(a) 1 | 21,118 |
113 | 車椅子詳細(a) 2 | 24,533 |
114 | 車椅子詳細(b) 通行スペース | 35,688 |
115 | (c)回転寸法(d)動作寸法 | 23,518 |
116 | (a)杖の種類と歩行幅(b)2本杖使用者の歩行時の振り幅 | 32,078 |
117 | ストレッチャー(a) | 13,912 |
118 | 5-2配慮項目と建物箇所 | 7,583 |
119 | 配慮項目と建物箇所2 | 9,152 |
120 | 配慮項目と建物箇所3 | 6,439 |
121 | 5-3昇降機関連法規 | 25,279 |
122 | 5-3昇降機関連法規2 | 17,555 |
123 | 都市施設(建築物)に対する整備・誘導項目適用表1 | 55,745 |
124 | 都市施設(建築物)に対する整備・誘導項目適用表2 | 50,582 |
125 | 参考文献 | 5,773 |
126 | 作成者リスト | 7,204 |
127 | あと | 5,442 |