シックハウス関連各種報道情報 (2004年前半)

<報道情報>  2004(平成16)年前半
ナノテクで高感度装置
九州大と九州工業大、日立製作所などの共同研究グループが、ナノテクノロジーでできた超微粒子の磁石を使い、従来の方法に比べ100倍の感度を持つたんぱく質の検出装置を開発した。病気の早期発見やメカニズムの解明に役立つため、実用化に注目が集まりそうだ。
血液などに含まれる特定のたんぱく質を検出するには、たんぱく質と結合する「抗体」に目印の蛍光物質(マーカー)を取り付け、蛍光の強さを測定する方法が一般的だ。しかし、装置の感度などの問題から、アレルギーに関係するIgEというたんぱく質で30ピコグラム(1ピコグラムは1グラムの1兆分の1)程度の検出が限界だった。
九州大システム情報科学研究院の円福敬二教授らのグループは、マーカーに直径80ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)以下の酸化鉄の超微粒子を使う技術を開発。このマーカーに磁気を帯びさせ、新たに開発した高感度の磁気センサーで測定したところ、IgEで0.3ピコグラムまで検出できることが確かめられたという。
研究開発に参加した九州大医学研究院の濱崎直孝教授は「この技術を使えば、シックハウス症候群に関係するたんぱく質の特定など、従来ではとらえられなかった病気の仕組みが分かる可能性がある。将来は、(患者個々人の体質や病態に合わせた投薬などを行う)オーダーメード医療にも活用できるかもしれない」と話している。
(2004/6/22:毎日新聞)
職員の約半数に症状 環境省所管の建物で「シックハウス」
 職場の新築が原因でシックハウス症候群になり働けなくなったとして、環境省所管の財団法人「地球環境戦略研究機関」(神奈川県葉山町)の元女性契約職員(31)が15日までに、横須賀労働基準監督署に労災の休業補償請求をした。女性からの相談に乗ってきた神奈川労災職業病センターが同日発表した。
 センターによると、同財団が研究所を新築したのは02年6月。「環境と人にやさしい建物」との目的で、床や壁には廃材などを多用した。
 当時勤務していた元職員は新築直後からめまいや頭痛などに悩まされるようになり、同10月に北里研究所病院(東京都港区)からシックハウス症候群と診断された。
 元職員だけでなく、当時この研究所に勤務していた約60人のうち27人が、同症候群や化学物質過敏症などと同病院などから診断されたという。
 同財団によると、27人中6人は現在も勤務しているが、残りの21人は退職した。新築から間もない02年7月、同財団が建物内の化学物質濃度を測定した結果、ホルムアルデヒドの濃度は建築物衛生法の限度基準値に近かったが、基準値内だったという。
(2004/6/16:朝日新聞)
環境省の研究所、シックハウスで女性が労災申請
 職場で発生した化学物質ホルムアルデヒドが原因でシックハウス症候群になったとして、環境省のシンクタンク「地球環境戦略研究機関」(神奈川県葉山町)の元契約社員の女性(31)が十五日までに、横須賀労働基準監督署に労災申請した。 
 神奈川労災職業病センターなどによると、女性は一九九九年十月から研究秘書として同機関に勤務。二〇〇二年六月に研究所が新設、同町内の旧施設から移転した直後から吐き気や頭痛などの症状が出始め、同十月にシックハウス症候群と診断された。
(2004/6/16:日本経済新聞)
環境省所管法人で被害、労災申請も
環境省所管の財団法人「地球環境戦略研究機関」(森島昭夫理事長、神奈川県葉山町)で職員約60人中27人がシックハウス症候群などと診断され、うち5人が数カ月〜1年の長期療養を余儀なくされていたことが15日分かった。30代の女性の元職員は、同症候群で勤務を続けられなくなったとして横須賀労働基準監督署に労災申請。同症候群による労災が認定されれば珍しいケースという。
財団などによると、02年6月に現在の建物(鉄筋コンクリート)に入居後、目まいや吐き気、頭痛などを訴える職員が続出。財団が「建物が原因の可能性を否定できない」と同症候群に詳しい東京都内の病院を紹介した結果、02年7月〜03年3月に27人が同症候群や化学物質過敏症などと診断され、財団が医療費を全額負担した。休日も換気した結果、現在は同症候群による休業者はいないという。
労災申請した女性は目まいや不眠などに悩み、03年1月から休職。今年3月で雇用契約が満期を迎えたが、体調が回復せず、更新できなかった。
財団は「室内の化学物質濃度を3回測ったが、普段使わない宿泊室を除き、値は厚生労働省の指針以下だった。原因は今も分からない」と話している。
(2004/6/15:毎日新聞)
シックスクール対策 先進地は東京、埼玉 殺虫剤の制限などは少数
 シックスクール対策など子供の化学物質過敏症への取り組みが進んでいるのは東京都や埼玉県だが、多くの自治体では担当部署さえはっきり決まっておらず、対応が遅れている−。都道府県や大都市を対象にした市民グループの調査で、こんな結果がまとまった。 
 調査は「化学物質問題市民研究会」(東京)が昨年八−十月に実施。都道府県と政令指定都市、中核市の計九十五自治体のうち六十六自治体から回答を得た。 
 「シックスクール実態調査を行ったことがあるか」「ワックスの使用に対策を講じているか」など、方針策定や具体策の実施の有無を二十一項目で聞き、実施数が多い順にランク付けした。 
 トップは十七点の東京都で、二位が十六点の埼玉県。旭川(十三点)、札幌、相模原(十二点)、仙台、浜松(十一点)の各市も比較的積極的に取り組んでいた。 
 ホルムアルデヒドを含む建材を学校に使わないなどの対策は全般的に進んでいたが、安全な教材の使用やワックス、殺虫剤の使用制限など、十分な対応をしている自治体は限られていた。 
 専門に所管する部署はなく、多岐にわたる部署の回答を寄せ集めた自治体がほとんどだった。 
 同研究会は「ガイドラインやマニュアルを作成して独自の施策を持っているのは東京と埼玉だけだった。まず自治体がどう子供を守るかという方針を早急に明確にしてほしい」と話している。
(2004/6/13:産経新聞)
「病院勤務でCSに」看護師が病院を提訴
 勤務先の病院で化学物質過敏症になり、後遺症に悩まされているとして、大阪市の看護師(49)が11日、病院を経営する日本海員掖済会(東京)に計約2400万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 訴状によると、岡沢さんは1997年8月、大阪掖済会病院(大阪市)のレントゲン透視室内で医療器具の滅菌作業に従事。
 グルタルアルデヒドを含む消毒剤の蒸気を浴び、当初から口内炎ができたり呼吸が苦しくなったりしたため2001年6月に退職した。その後、化学物質過敏症と診断され、02年に労災療養給付認定を受けたが、現在も目まいや胸の痛みなどの後遺症があるという。
 岡沢さん側の池田直樹弁護士は「グルタルアルデヒドによる被害をめぐる訴訟は初めてではないか。後遺症が認められるかどうかが争点」と話している。
(2004/6/11:共同通信)
東京・調布市を元児童4人が提訴
東京都調布市立調和小学校の元児童4人は4日、化学物質などに反応して体調を崩す「シックハウス症候群」を発症したのは市が新校舎について適切な対応を取らなかったのが原因として、市に計2000万円の損害賠償を求め東京地裁八王子支部に提訴した。
訴えによると、4人は02年9月に同小新校舎の利用開始後、頭やのどの痛みなどを訴え、シックハウス症候群と診断された。施工業者が事前に行った検査では、最高で国の指針値の38倍のトルエンなどが検出されたが、市は校舎使用を遅らせるなどの対策を取らなかった。このため体調が悪化して転校し、現在も化学物質を使う授業を受けられないなど精神的被害を受けたと主張している。
長友貴樹・調布市長は4日の定例会見で、「提訴は厳粛に受け止め、誠実に対応したい」と話した。
(2004/6/4:毎日新聞)
容器の絵表示で危険性明示
職場での化学物質管理について、厚生労働省の検討会は27日、容器に絵表示を導入して危険性を明確にするなど、安全対策の向上を求めた報告書をまとめた。
化学物質の利用が拡大し労働者への危険が増していることが背景にあり、厚労省は労働安全衛生法の改正で義務付けたいとしている。
報告書は、ダイオキシンやシックハウス症候群、アスベスト(石綿)など、化学物質による労働者の健康問題は、化学物質の製造や取り扱いにとどまらず、廃棄物処理施設や事務所にも広がっていると指摘。現在、約5万7000種類が使用されており、毎年新たに500種類以上が追加されているとして対策の強化を求めた。
具体的には、輸送のための容器や包装、さらに作業場で、化学物質の危険性や有害性を分かりやすく表現した絵表示の導入を提案。例えば、毒性が強い物質にはドクロ、発がん性にはひび割れた心臓や肺、発火性には炎の表示など、国連が国際基準として作成した9種類のマークの利用を促した。
(2004/5/27:共同通信)
妻の自殺ほう助で 高校教諭懲戒免職
 滋賀県教委は、病気に悩む妻の自殺をほう助したとして愛知県警に逮捕、起訴された県立能登川高の男性教諭(44)を、2004年5月25日付で懲戒免職処分にした。また、同高の町田登校長(55)を職員の管理監督や指導を十分に果たさなかったとして、斎藤俊信教育長による口頭訓告処分にした。
 男性教諭は2004年4月25日、自宅近くにある名古屋市名東区平和が丘の公団住宅の11階の階段踊り場まで妻(34)を背負って運び、手すりに腰掛けさせて自殺を手助けした疑いで愛知県警千種署に逮捕された。
 男性教諭は今月14日の起訴後、「(自殺を)止めることができなかったことを悔やんでいる。公務に大きく支障をきたし、学校と生徒に対しおわびします」との文書を学校へ寄せていた。
(2004/5/26:京都新聞)
分析しなくても費用支払い
国土交通省のシックハウス全国住宅実態調査で独占的に使われているA社(東京都港区)の化学物質測定器をめぐり、2000−02年度に国費で購入した3万個のうち、未回収で分析に回されなかった約5400個の分析費計九百数十万円がA社側に支払われていたことが3日、分かった。
国交省住宅局は「契約なので仕方なかった。透明化を図るため、03年度からは分析した分だけ費用を支払う方式に変更した」としている。
国交省などによると、実態調査は2000年度から始まり、同年度は1個4250円、01年度は1個4900円でそれぞれ1万個ずつが国費で購入された。この価格は分析費込みのため、未回収で分析されなかった測定器の分析費はA社の収入になるという。
2000年度は約900個、01年度の約2500個が未回収。当時の分析費は公表されていないが、計五百数十万円に上るとみられる。
02年度は測定器本体(1個3700円)と分析費(1個1840−2040円)を別々にして1万個を購入した。しかし前払いの契約だったため、未回収だった約2000個分の分析費約380万円は、分析されないまま、A社測定器の分析を請け負っている国交省所管の財団法人ベターリビングに支払われた。
国交省内部で「分析していない費用まで支払うのは無駄だし、透明性も問題だ」との意見があり、03年度になって実績に応じて分析費用を支払う仕組みに変更したという。
(2004/5/4:共同通信)
樹皮で環境に優しいボード開発
愛媛県立衛生環境研究所などは2日までに、樹皮を原料とする木質ボードを開発、特許を出願した。シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドを含まず、環境に優しい新製品として期待されている。
スギやヒノキの樹皮と間伐材チップに植物原料の接着剤を加え、200度に加熱。1平方センチあたり25キロの圧力をかけてボード状に成型。樹皮には天然の抗菌成分が含まれるため、従来の合板と違って化学抗菌剤や防腐剤を加える必要がなく、安全性が高いのが特長という。
同研究所は「子供や化学物質過敏性の人に安心してもらえるのでは」と話しており、保育園や学校、病院などの内装材に利用できそうだ。
1年間に愛媛県内で発生するスギ樹皮などの廃棄物は約4万5000立方メートル。処分には1立方メートル当たり約2万円の費用がかかり、林業経営圧迫の一因だったため、樹皮の有効利用は一石二鳥という。
今後は実証試験を重ね、05年度以降の商品化を目指す。同研究所の新次美課長は「低迷する林業の活性化につなげたい」と話している。
(2004/5/2:共同通信)
社長の実家に換気設備提供
国土交通省のシックハウス対策事業で化学物質測定器が独占的に使われているA社の社長の実家が、2000年度に国が実施した研究事業の対象住宅に選ばれ、2台で計約60万円相当の換気設備の取り付けを受けた上、化学物質の濃度を無料で測定してもらっていたことが1日、分かった。
国の実施要領では既存住宅が研究対象で、新築だった社長の実家は要領を外れていた。当時の国交省担当者は「新築でもデータ収集という研究の趣旨に変わりはなく、問題ないと判断した。社長の実家とは全く知らなかった」としている。
研究は、旧建設省が所管の財団法人ベターリビングに計1億1800万円で委託。実験棟や一般住宅を対象に、改修や換気設備の有効性を裏付けるデータを収集するのが目的だった。住宅はベターリビングが選定し、社長の実家以外では既存住宅1戸が選ばれている。
(2004/5/2:共同通信)
測定器、学校保健会の販売も99%
国土交通省のシックハウス対策事業で化学物質測定器が独占的に使われているA社が、学校向けに測定器をあっせん販売している文部科学省所管の日本学校保健会(東京都港区)の注文もほぼ独占していることが30日、関係者の話で分かった。同会は他社製品も扱っているが、注文の99%以上はA社の測定器だという。
A社は自民党参院議員の上野公成前官房副長官の知人の女性が経営、同会を2人で訪問したこともあるが、同会は「上野議員から販売を依頼されたことはない。注文がA社の測定器ばかりだから(独占は)結果としかいいようがない」としている。
関係者によると、文科省は2002年2月「学校環境衛生の基準」を改訂、定期的な測定や新築・改築時の測定を義務付け、A社を優遇した国交省作成の性能比較試験の一覧表を同年5月、全国の教育委員会や大学事務局などに一斉通知した。
この通知をめぐって、器具の選定や測定方法について文科省だけでなく国交省やA社にも問い合わせが相次いだ。
当時官房副長官だった上野議員は文科省の担当者を官邸に呼んで「現場が混乱しているので筋道をつくった方がいい」と言い、その後同年9月に学校保健会内に相談窓口が設置されたという。
同会のあっせん販売は02年10月初旬から始まり、今年3月までの1年半で約4万個を販売した。
上野議員は同月末か11月上旬ごろ、A社社長ともに同会を訪問していたことが判明しており、同議員は「女性だと軽く見られることもあるし、会長が私の選挙区の人だからあいさつに行った」と説明していた。
(2004/5/1:共同通信)
測定器試験有利な条件、やり直しも
国土交通省がシックハウス対策の一環として2001年度に実施した化学物質測定器の性能比較試験で、上野公成参院議員の知人女性が経営するA社の測定器だけ試験をやり直したり、他社より有利な条件を適用したりしていたことが29日、関係者の証言で分かった。
試験の報告書をまとめた独立行政法人建築研究所の坊垣和明研究総括監は公平性を欠いた試験だったと認めた上で、前年度に国交省がこの測定器で全国住宅実態調査を始めていたことに触れ「調査に使ったものを落とすわけにはいかない部分があった」としている。
同省はこの測定器に高い評価を与え、性能評価付きで器具の一覧表を公表しているが、基となった報告書には詳細な経緯やデータの記載がない。シックハウス問題に詳しい小峯裕己千葉工大教授は「国民の健康にかかわる問題なのに、データを公表しないこと自体、不透明で問題。こうした測定器が広く使われているのはおかしい」と批判している。
関係者によると、比較試験は市販の測定器の精度を確かめるため、国交省の主導で産官学がつくった「室内空気対策研究会」が、茨城県内の民間分析センターに委託。5社9製品を3回ずつ測定した。
A社の測定器の1つは3回中2回で異常な数値が出たが、測定をやり直した上で「○」と評価。同社の別タイプの測定器も、試験環境に合わせて係数を調整した上で、同様に「○」とした。
他メーカーの測定器ではこの処理はせず、メーカー側が示している固定の係数を使い「△」とされた製品もあった。
分析センターは、A社の測定器の分析を独占して請け負っている。試験の責任者だった坊垣総括監は「試験方法は分析センターに任せていたが、同じ処理をしていれば全製品が『○』になっただろう」と話している。
国交省の当時の担当者は「やり直したのは明らかな異常値が出たため。試験方法に問題はなく、誤解を招く内容は報告書に書かない方がいいと判断した」としている。
(2004/4/30:共同通信)
測定器、上野議員の知人会社が独占
国土交通省のシックハウス症候群対策事業に、旧建設省OBの自民党参院議員、上野公成前官房副長官の知人女性が経営するA社(東京都港区)が販売している化学物質測定器が独占して使われていることが29日、共同通信の調べで明らかになった。測定器は国交省の全国住宅実態調査に採用、翌年度の性能比較試験でも優遇されて他省庁関係にも広がった。
社長によると社員は2人で、上野議員が社長に同行し取引先を訪問したこともあるという。上野議員は「女性だと軽く見られることもあるし(取引先の)会長が私の選挙区の人だからあいさつに行った」と説明し「事業にかかわったことはなく(独占は)絶対偶然だと思う」と話している。
社長は「うちのが一番安くて精度もいい。働き掛けはしていない」と話し、上野議員について「尊敬している。人を紹介してもらったこともあるが(販売と)先生とは関係ない」としている。
測定器は米国製の小型の使い切りタイプで、国内販売権はA社が所有。室内に置いて空気中の化学物質を付着させ、指定された分析会社に送ると結果が分かる。
国交省事業の全国調査で2000−03年度に計4万2300個、国交省国土技術政策総合研究所の官庁建物実態調査で01−03年度に計約7000個を購入。いずれもA社製品だけを使用、分析費込みで2億4000万円余の国費が支出された。
社長の話では、1995、6年ごろ上野議員の紹介で国交省所管の住宅関係の財団法人ベターリビング(東京)に出入りするようになり、当時の財団幹部の勧めで測定器の輸入を始めたという。
関係者によると、その後、2000年夏から始まった全国調査では公募や入札なしでA社測定器の採用が決まった。実施主体の研究会メンバーは「国交省住宅局の主導で決めた」と証言。当時の住宅局担当者は「A社製品しか把握していなかった」としている。
翌年度に実施した他社製品との性能比較試験でA社の測定器は高い評価を受け、公的な場での使用が拡大した。しかし試験結果をまとめた国交省所管の建築研究所幹部職員は、A社を優遇した公平性を欠く試験だったと認めている。
さらに、上野議員は官房副長官だった02年10月末か11月初めごろ、文部科学省のシックハウス対策を受け学校などに測定器の販売仲介を始めたばかりの日本学校保健会(東京都港区)を社長と訪問。販売状況の説明などを受けた。保健会は「秘書も連れずに突然来た。社長と一緒だったのは違和感はあった」としている。
(2004/4/30:共同通信)
<自殺ほう助>持病に悩む妻の飛び降り手助け 高校教諭逮捕
 持病を抱える妻の自殺を手助けしたとして、愛知県警千種署は25日、名古屋市名東区平和が丘、滋賀県立高校の男性教諭(44)を自殺ほう助容疑で逮捕した。
 調べでは、男性教諭は同日午前2時25分ごろ、妻を自転車に乗せて同市千種区内の公団住宅(12階建て)に向かい、同住宅11階踊り場の手すりに妻を腰掛けさせるなどして妻の自殺をほう助した疑い。妻は同所から約29メートル下のアスファルトに飛び降りた。
 調べに対し、男性教諭は「約1週間前から持病を抱える妻に度々、疲れたから死なせてほしいと懇願されていた。最後まで(妻の自殺を)止められず後悔している」と容疑を認めているという。
 妻はこれまでにも度々、男性に自殺願望を打ち明けていたといい、さらに同署で詳しい動機を調べている。【岡崎大輔】
(2004/4/26:毎日新聞)
妻に「死にたい」と頼まれ幇助容疑、高校教諭逮捕 愛知
 自殺願望がある妻(34)の自殺を助けたとして、愛知県警は2004年4月25日、名古屋市名東区平和が丘、滋賀県立高校教諭の夫(44)を自殺幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕した。
 千種署の調べでは、夫は25日午前2時ごろ、「死にたいからどこかに連れていってほしい」と妻に頼まれ、自宅から同市千種区千代が丘の12階建て公団住宅へ、自転車に2人乗りして連れていった。説得してもさらに懇願されたため、11階の踊り場へ行き、手すりに腰掛けさせたところ、妻は午前2時半ごろ、手すりから飛び降りたという。妻は全身を強く打って死亡した。夫は「反省しています」と容疑を認めている。
 夫は同市名東区の自宅から滋賀県内の県立高校に通い、妻と2人暮らし。妻は病気に悩み、以前から夫に「死にたい」と漏らしていたらしい。
(2004/4/25:朝日新聞)
園児らシックハウスで堺市など提訴
大阪府堺市の湊保育園で、開園直前に高濃度のトルエンが空気中から検出されたのに適切な対策をとらず、園児がシックハウス症候群と診断されたなどとして、園児ら30人が21日、堺市と建設会社などに計5450万円の損害賠償の支払いを求めて大阪地裁堺支部に提訴した。
訴状などによると、2002年3月、市立保育所の民営化に伴い新築された湊保育園の空気中から、国の指針値の約12倍の濃度のトルエンが検出された。
しかし、市は同年4月の開園を認め、建設会社などもその後約8カ月間抜本的な対策を取らなかったため、園児らは目の充血などの症状に悩まされ、「シックハウス症候群」と診断された。また、保育室が使えない不便も強いられた。
園児ら42人は03年7月、堺市などに計2100万円の損害賠償を求めて堺簡裁に民事調停を申し立てたが、成立しなかった。
堺市児童福祉部は「調停が不調に終わり残念。訴状が届いたら内容を把握した上、対応する」とコメントした。
(2004/4/21:共同通信)
農林水産省 国産材利用による「木の時代」の復活を提起
亀井善之農相は20日の閣議に2003年度の森林・林業白書を提出、了承された。林業生産活動の停滞で森が荒れているとの認識から、木材活用の意義を強調。シックハウス症候群など健康問題や安らぎの住空間を求める意識の高まりなどから木造住宅の良さが見直されているとし、国産材利用による「木の時代」の復活を提起している。
先進国の多くで木材消費量が増加している中で、日本では1980年に比べ2002年は15%減少するなど、長期的に木材離れが進んできたと指摘。特に国産材は外国産材に押され、02年はピークの73年の三分の一に落ち込んでいる。
一方、内閣府の03年調査では「木造住宅に住みたい」との回答が8割を超え、公共施設への木材利用を「望ましい」とする回答も増えるなど、木材への回帰の兆しも出てきた。白書は、木材の活用は森林整備を通じた水源涵養(かんよう)や、地球温暖化防止に役立つと強調。資源量の多い国産のスギ材、間伐材などの活用を訴えている。
国産材の復活に向けた課題として、木材を燃えにくくしたり強度を高める加工技術の開発や、おがくずを利用した固形燃料化、公共事業への利用拡大などを提案。木材乾燥施設の増設、小規模な製材工場の再編による規模拡大など生産体制の整備も重要としている。
(2004/4/20:共同通信)
防火認定のアレルギーフリー壁紙を発売
 アトピッコハウスは4月15日、難燃薬剤を使用せず防火認定を取得したシックハウス対策壁紙「アレルギーフリー織物壁紙」を発売する。
 アレルギーフリー織物壁紙は薬剤による不燃処理を行なわずに、準不燃の防火性能を取得しているため、台所などの火気使用室でも内装制限を受けることなく使用が可能となっている。
 価格は1メートル当たり1600円。洋室天井用、洋室壁用、和室壁用の3種類がある。
(2004/4/16:読売新聞不動産流通経営協会提供)
横浜市 シックハウス対策ガイドライン
横浜市は7日、市が管理する公共建築物のシックハウス症候群対策を進めるため、症候群を引き起こす揮発性有機化合物の測定などの取り組みをまとめたガイドラインを策定した。
対象は市立小中学校や図書館など約1500施設。新築や改築時は、業者にホルムアルデヒドなどの放散量が少ない建材や備品を選ぶよう求める。既存施設では、揮発性有機化合物の濃度を測定し公表する。
仙台市でも3月に同症候群対策のマニュアルを策定している。
(2004/4/7:共同通信)
シックハウス対策で換気扇需要増
日本電機工業会が19日発表したエアコンや洗濯機など白物家電の国内生産額予測によると、2004年度は前年度実績見込みに比べて0・5%減の1兆8294億円と、4年連続でマイナスとなる見通しだ。
海外への生産シフトや価格下落が進んでいるため。ただ、食器洗い機など一部の高付加価値製品では生産が伸びている。また中国向けなど輸出増による国内生産の増加も期待でき、同工業会は「ようやく下げ止まりの兆しが出てきた」とみている。
04年度の生産額を製品別にみると、食器洗い機が11・7%増の492億円、換気扇もシックハウス対策による需要増で11・2%増の1128億円となる見通し。電子レンジは18・4%減の304億円、掃除機は14・8%減の584億円と、大きく落ち込むとみている。
(2004/3/19:共同通信)
国土交通省 アセトアルデヒドを測定対象から除外
アセトアルデヒド測定、シックハウス基準から除外 (4/4) 国土交通省は15日、住宅の構造や安全性などを第三者機関が評価する住宅性能表示制度で測定対象としている物質のうち、化学物質のアセトアルデヒドを除外する方針を明らかにした。
人体への影響が完全に解明されていないことなどが理由で、国交省は「測定値を示すと、かえって住宅市場を混乱させる」(住宅局)と説明している。16日に開かれる社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の建築分科会の議決を経て、2004年度から実施する。
アセトアルデヒドは、天然木材に含まれる酢酸などが化学変化を起こして発生し、住宅建材が頭痛やめまいを引き起こすシックハウス症候群の原因になるとされ、昨年4月に住宅性能表示制度の測定対象物質に指定された。
しかし、アセトアルデヒドの毒性は動物実験では確認されているものの、人体への影響が明確になっておらず、世界保健機関(WHO)は、健康被害を与えるとされる指針値を0・03ppmから0・17ppmに緩和する方向で検討に入っている。国内の過去の実態調査では0・17ppmに達した住宅がなかったことから、国交省は測定物質の対象から除外することにした。
(2004/3/16:読売新聞)
文部科学省 幼稚園木造化を推奨
文部科学省は29日、幼稚園舎の木造化を推進する方針を決めた。幼稚園設置基準に木造化の障害となっている表現があることから、自治体や幼稚園を運営する学校法人に対し、「設置基準は木造化を妨げるものではない」とする見解を近く通知する。
建材などの化学物質で健康被害を受ける「シックハウス症候群」の心配が少ない木造建築を求める要望が保護者から多く寄せられていることに配慮した措置だ。
幼稚園設置基準は、火災などが発生した場合に備え幼児の安全を確保する観点から、「保育室の場所は1階を原則として、2階に置く場合は園舎を耐火建築物にしなければならない」と定めている。こうした規定は小・中学校設置基準にはなく、幼稚園設置基準のみにあるため、自治体などが幼稚園舎の木造化に踏み切れない一因とされてきた。
特に最近は、小中学校や幼稚園の校舎・園舎で建材に化学物質を使用しているため児童や園児が体の不調を訴えるシックハウス症候群の学校版「シックスクール」問題が指摘され、保護者から「化学物質の使用を減らすため、改修・改築の際は木造建築にすべきではないか」といった要望が増えているという。
このため、文科省では、建築基準法が求める耐火基準に合致しさえすれば、保育室を2階に置く場合でも木造化は可能と判断。設置基準の表現について木造化を阻む趣旨ではないことを明確にすることで、園舎の木造化を推進することにしたものだ。
(2004/3/1:読売新聞)
厚生労働省 症状と汚染物質の関連調査分析
新築やリフォームした家で目やのどが痛くなる「シックハウス症候群」の原因を探るため、厚生労働省は26日までに、症状を訴える人たちの自宅に出向いて実際に室内汚染状況を測定する大規模な調査に乗り出した。
住宅内の化学物質濃度を調べる全国調査はあるが、症状との関連を調べる大規模調査は初めて。化学物質だけでなくダニやカビなどの原因物質を総合的に分析するほか、温度、湿度の違いによる地域差も検討、謎に包まれたシックハウス症候群の実態把握を目指す。
調査は岸玲子・北海道大大学院教授を主任とする研究班が実施。北海道、福島県、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県の六地区で調査を始めている。
自治体に提出された建築確認申請書類を閲覧して計4千軒程度の新築・リフォーム住宅を無作為に選び、住民に自覚症状の有無や換気方法などをアンケートする。
実際の測定調査は、回答者のうち同意を得られた家庭が対象。症状のある人、ない人の双方の家を選んで測定し、ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質、ダニ、カビなどの汚染濃度、温度、湿度などとの関連を分析する。
調査は2003年度から3年がかりで、厚労省は各年4千万円前後の研究費を助成する。
岸教授は「雪国と暖かい南国ではシックハウス症候群の傾向が違うのか、どの程度の濃度から症状が出始めるのかなどを明らかにできれば」と話している。
(2004/2/26:共同通信)
文部科学省 50校調査では異常なし
文部科学省は10日、頭痛やのどの痛みなどが起こるシックハウス症候群の原因となる化学物質の空気中濃度を全国50の小中学校で測定した結果、厚生労働省が定めている基準を超えた学校はなかったと発表した。
調査は新築・改築、全面改修、築5年、10年、20年の小中学校を10校ずつ計50校選び、2000年12月から01年2月まで実施。エチルベンゼン、スチレン、テトラデカン、クロルピリホス、ダイアジノン、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの7つの化学物質について教室や保健室、体育館などでそれぞれ測定した。
(2004/2/10:共同通信)
個人情報開示請求手続き不要に
東京都調布市立調和小学校でシックハウス症候群と見られる症状が児童に出た問題で、同市教委は6日、今後は親が個人情報の開示請求をしなくても、口頭の申し出だけで、その場で児童の健康診断結果を開示することを決めた。
市教委は、同小児童への有害物質の影響を調べるため、一昨年から昨年にかけて健診を行ったが、我が子の診断結果を希望する親には、個人情報の開示請求を求めてきた。「医師に委託してまとめたこともあり、厳格に扱ってきたが、保護者の知る権利を尊重するため、弾力的な対応に転換した」としている。
市教委は来週にも、同小の全保護者に対応の変更を伝える通知を出す。
(2004/2/7:読売新聞)
健診結果、保護者に開示請求要求
東京都調布市の小学校でシックハウス症候群と見られる症状が児童に出た問題で、健康診断結果の通知を希望する保護者に対し、同市教委が個人情報の開示請求をするよう求めていたことが5日、分かった。保護者からは「我が子の健康診断の結果を知るのに、こんな手続きが必要とは」と疑問の声が上がっている。
シックハウス症候群は、住宅建材などから放散される化学物質を吸い込むことで頭痛や吐き気などが起きる症状。調布市立調和小学校では、一昨年夏に完成した新校舎から、国の指針値を大幅に超える有害物質のトルエンなどが検出され、多数の児童が体調不良を訴えた。
これを受け同市教委は、大阪のNPO「シックハウスを考える会」の医師と学校医に委託し、同年10月と昨年3月、同10月の3回にわたり、同校の全児童に問診などの健康診断を行った。
1回目の健診後、市教委は「全校児童の約2割が、シックハウス環境の影響を強く受けたと見られる」との結果を公表。その一方、「親に通知が必要という医師の指示がなかった」として、1、2回目の健診については、個別の健診結果を保護者に通知しなかった。
これに対し、体調不良を訴えた計9人の児童の保護者が「病院受診のため、健診の結果を知りたい」と要望。しかし、市教委では「健康診断の結果は個人情報にあたる」として、開示請求の手続きを要求した。
このため、保護者らは昨年8月から9月にかけ、市の個人情報保護条例にもとづき「自己情報」の開示請求を行い、2週間後、医師が記入した我が子の「個別検診表」と「所見」のコピーを交付された。請求の際、親子関係を証明するために住民票の提出も求められたという。
保護者の不満を受け、市教委は昨年10月の健診後、一部児童の親に「シックハウス症候群との関連はないと思われるが、(医療機関での)早めの受診を勧める」との文書を出した。だが、健診結果そのものについては、「開示請求が必要」との立場を崩していない。
開示請求した保護者(43)は、「子どもの健康を心配するのは親として当たり前なのに、こんな手続きが必要とはおかしい」と話す。
一昨年にシックハウス症候群と見られる症状が児童に出た長野県塩尻市の市立塩尻西小の場合、全員の保護者に健診結果を文書で通知したという。昨春、校舎から高濃度のトルエンが検出された東京都立世田谷泉高校でも、健診結果を生徒本人に詳しく説明したといい、都教委では「一般的に、健康診断の結果は本人に情報を示すことで、健康への意識を改善する意味があるのでは」と話していた。
(2004/2/6:読売新聞)
マンションでシックハウス集団提訴 大阪
  総額約3億600万円の損害賠償 新築の分譲マンションに入居したのに、床下の建材に含まれる化学物質で「シックハウス症候群」になったとして、大阪市北区の「ライオンズマンション」(95戸)に住む20世帯46人が29日、販売元でマンション分譲大手の大京(東京)と施工業者「大末建設」(大阪)、建材メーカー「ブリヂストン」(東京)の3社を相手に、リフォーム費用や慰謝料など総額約3億600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
  訴えによると、原告らは00年11月〜02年1月に入居したが、間もなく頭痛やめまい、目の痛みなどに悩まされ、多くの人が専門医のいる北里研究所病院(東京)で「シックハウス症候群」の症状と診断された。空気測定で、原因物質となるホルムアルデヒドが平均で国の指針値(1立方メートルあたり0.1ミリグラム)の約2倍の高濃度で検出され、床下の建材から放出されていることがわかったという。
  マンションは99年夏に着工されたが、国の指針はその約2年前に示されていて、原告らは「化学物質の少ない建材を選ぶことができたのに、欠陥住宅を引き渡した過失がある」と主張。症状の改善には床の張り替えなどが必要だとして補修費用や健康被害に対する慰謝料などを求めている。
原告らは話し合いによる解決を求めて調停を申し立てていたが、今月、不成立に終わった。
  <大京広報部の話> 訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい。原因も特定できておらず、当社に法的責任はないと考えており、今後も引き続き、主張の正当性を訴えていきたい。
(2004/1/29:朝日新聞)
韓国の行政、環境部、「シックハウス症候群」調査に着手
新築の家に住む人が皮膚炎やぜん息に苦しむ、いわゆる「シックハウス症候群」について、韓国政府が実態調査に着手する。
環境部は築1年以内の全国のマンション・多所帯住宅100カ所を対象に、2、3月中に室内の空気汚染測定を実施すると27日、明らかにした。
特に「シックハウス症候群」との関連が疑われるホルムアルデヒド(HCHO)・二酸化炭素(CO2)・総揮発性有機化合物(TVOC)、塵など10の室内空間汚染物質が調査対象となる。
環境部はまた、最近‘休息空間’として人気のチムチルバン(韓国サウナ)についても二酸化炭素などの汚染物質数値を調べ、病院、老人福祉施設、カラオケなどの施設でも基礎調査を行う予定だ。
調査の結果に基づいて上半期中に疫学調査計画をまとめ、来年からは環境汚染と健康間の因果関係を本格的に把握していく計画だ。
「シックハウス症候群」とは、住宅の新築や改装工事後、建材から室内に発生する揮発性化学物質などが原因で、以前になかった頭痛・ぜん息、アトピー性皮膚炎などのアレルギーが発生することをいう。
(2004/1/27:韓国・中央日報・日本語版)