シックハウス関連各種報道情報 (2004年後半)

<報道情報>  2004(平成16)年後半
100時間超残業者に医師面接 労働安全衛生法改正へ
 厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会は27日、過労や心の健康(メンタルヘルス)対策で、月100時間を超える残業をした労働者について、本人の申し出などを前提に医師の面接指導を企業に義務付ける案をまとめた。これを受け厚労省は、来年の通常国会で労働安全衛生法を改正する。
 長時間労働が減らず、過労死、過労自殺が増え続ける中、厚労省はこれまで指針や通達で対応してきたが、初めて法規制に踏み出す。
 法改正にはこのほか、企業の事務部門などで衛生管理者の外部委託を認めることや、化学物質を扱う現場で有害性の程度に応じて容器などに絵表示を義務付けることも盛り込まれている。
(2004/12/27:共同通信)
工業化以後の手仕事(1)西表の紅露工房
 龍村仁監督のドキュメンタリー映画「地球交響曲第五番」の公開が始まっている。この作品は、毎回、いくつかのパートからなるオムニバス形式をとっている。今回の主な登場人物の一人は、西表島で紅露工房を営む石垣昭子さんだ。この映画を見る人は、浦内川河口域の清らかな景観と、豊かな自然から得た糸と染料を使ってつくりあげられる布の美しさに圧倒されずにいられないだろう。
 自然とつくり手の関係という点で、この映画で紹介されている紅露工房の仕事環境は、世界的に見てもめったにない恵まれたものだ。自然染料を使って糸や布を染めることはもともと世界各地で行われてきたことだが、化学染料が入ってくると短かい間に自然染料はあまり使われなくなってしまう場合が多い。また、自然染料を使っていても、糸は他から購入するというところが多い。
 それに対して、沖縄県八重山諸島では、現在も身近な植物から糸をとり、身近な植物から得た染料で糸を染める文化を多くの染織家が維持している。これは、過去の反省を踏まえて、八重山上布をはじめとする八重山の織物の品質を高めていくには、身近な天然素材を生かす技法を重視しなくてはならないという意識が織物組合などを通じて共有されてきたからだと言える。
 石垣昭子さんは、八重山諸島の中の平らな小さな竹富島から起伏に富み豊饒な自然に恵まれた西表島に1980年ごろに移り住み、工房の周囲の農園で栽培する植物をだんだんに増やし、また自生する植物を採集し、身近な植物を生かす八重山の染織文化の可能性を徹底して追求することができる環境をつくりだした。
 紅露工房の周囲の農園にはたくさんの糸芭蕉を植え、桑を栽培してさまざまな品種の蚕を飼い、インド藍(八重山では「シマアイ」と呼ぶ)、紅花、クチナシなどの多彩な染料植物を栽培し、フクギの木の皮からは黄色の染料をとる。周囲の山からイモ科の紅露(くうる: 赤茶色の染料になる)を、山に入る道では琉球藍が採集される。
 このように、植物や蚕を育て、自分たちでさまざまな糸や染料をつくることができる環境をもつということは、創り手にとって、限りなく多様な実験の可能性を手近にもつことを意味する。
 八重山では、緯糸と経糸とを異なる素材の糸を使って織る織物を「ぐんぼう」と呼ぶが、どんな緯糸と経糸とを組合せるかで、さまざまな感触の布ができる。同じ藍で染めても絹糸はよく染まり深い青になるのに対して、芭蕉の糸は染まりにくく光沢のあるやや薄い青になる。緯糸に絹糸と芭蕉糸の両方を織り込んだ布を藍で染めると、どんな効果が生まれるか。糸の特徴、染料の性質、織りの効果などがわかってくるとともに、こういう風にしたらどうなるだろうか、という問題意識がつぎつぎに生まれてくるに違いない。
 この連載では、今後「持続可能な発展への転換」の仕組みをつくっていく際に、紅露工房のような、さまざまな自然素材を育てる環境をもつ手仕事工房がどのような役割を果たすかを探っていきたい。
 注1: この記事での紅露工房についての説明は、「地球交響曲第五番」のナレーションをもとにしている訳ではなく、紅露工房での石垣昭子さんとの度重なる会話にもとづいている。
 注2: 紅露工房の仕事に関するウェブ上での紹介としては、石垣昭子さん、真木千秋さん、真砂三千代さんのコラボレーションによるプロジェクト「真南風(まーぱい)」のページがよくまとまっている。
(2004/12/23:JANJAN-特集)
工業化以後の手仕事(2)持続可能な生活文化
 前回「西表の紅露工房」で書いた西表の自然から素材を得た紅露工房および真南風の手仕事の作品に接すると、深い感銘を受ける人が多い。人々のこうした反応は、心の深いところで工業社会的価値基準の行き詰まりを感じているためとも思われる。こうした感覚は「持続可能な発展への転換」(※注)の途を探っていくためのひとつの重要な端緒となるだろう。
 しかし、日本の社会では、「持続可能な発展への転換」とは、本気でとりくめば実現可能であり、緊急性が高い目標である、という意識があまり持たれていない。その原因はいろいろあると考えられるが、ひとつには、さまざまな視点からの議論がバラバラに存在していることがあるだろう。異なる文脈を持つ議論の互いの関連を明らかにし、要になるポイントをしっかりつかもうとする努力が足りないのだと思われる。そのため、工業化以後へ向かおうとする人々の心の底流と結びつく「持続可能な発展への転換」のシナリオが生まれていないのではないだろうか。
 「持続可能な社会への転換」には、複数の目標と手段の関連が複雑に関連しあう。そのため、さまざまな視点からの探究を重ねながら、重要な要因連関を把握し、戦略的なシナリオを描いていく、多元的、システム的な接近法が必要だ。
 図に示したように、例えば「持続可能な農業への転換」、「持続可能な森林管理への転換」、「生態系の保全・再生」、「再生可能なエネルギーの普及」、「持続可能な交通システムへの転換」、「持続可能な衣・食・住の生活文化への転換」などさまざまな入口から入って、転換の道筋を探っていかなくてはならない。そして、図のように、さまざまな入口からの道筋の要となる因子の重なり合いを明らかにし、転換を進める上での要因の連関構造をしだいに明確にしていかなくてはならないだろう。
 持続可能性に向かうためのこうした諸テーマの中で、従来、見落とされがちだったのが「持続可能な衣・食・住の生活文化への転換」という生活者の側からのテーマではないかと思われる。工業化以後の時代に向かおうとする人々の心の底流を顕在化していくには、この「生活文化の転換」という視点が不可欠である。
 「持続可能な発展への転換」を進めるための要因連関には、世界的に共通性の高いものと、地域による違いの大きいものがあるが、「持続可能な衣・食・住の生活文化への転換」というテーマをめぐる連関は、とくに地域性が大きい。そのため、このテーマに取り組むには、「風土に合った暮らしと自然素材活用の学び直し」という視点が重要になる。
(2004/12/25:JANJAN-特集)
工業化以後の手仕事(3)風土無視の住宅の悲劇
 量産型工業化にともなって普及した風土への配慮を欠いた住宅が、知らず知らずのうちに健康をひどく蝕むものになってしまっている典型的な現れが、シックハウス症候群と言われる疾患、さらに「化学物質過敏症」である。
 化学物質過敏症という用語は、北里大の石川哲医師や宮田幹夫医師が使い始めたものだが、医学的に確立した概念とはなっていない。しかし患者さんの立場からは、効果的な治療につながる有意義な概念と認められているようだ。石川医師は、エール大学のカレンに基づき、次のように(a)(b)のどちらかの後に(c)が起きるのが「化学物質過敏症」と定義している(石川哲「化学物質の人体に対する医学的影響とガイドライン値の検討」:「日本建築学会/1999年研究成果報告書」からPDFファイルを入手可)。
「(a)大量の化学物質に一度接触し急性中毒症状が発現したあとか、または(b)有害化学物質に長期にわたり慢性的に接触した場合、(c)次の機会にかなり少量の同種または同系統の化学物質に再接触した際に見られる不快な臨床症状」
 (a)の場合は急性中毒の原因になっている化学物質を特定しやすい。他方、(b)⇒(c)の場合は、接触した物質の量があまり多くないので、原因を探るのが難しい。室内の空気中に揮発する化学物質が原因で体調不良が起きるシックハウス症候群が(b)の段階で、(c)の段階の化学物質過敏症になると、ごく微量の物質に反応して症状が出る。
 (b)の段階で体調不良があっても、原因がつかめないないまま(c)に移行すると、ごく微量に対して反応するため、原因物質をつきとめるのが難しく、患者さん本人はひどく苦しんでいるのに、不定愁訴として扱われることが多い。そのため、患者さんが心理的に孤立し追いつめられてしまう危険が高い。
 最近の住宅の室内を見直してみると、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因になる物質が無数に使われていることがわかる(「日本左官業組合連合会/室内環境汚染と無縁の住宅づくり」)。発症の原因となることが多いものとして、例えば、床下のシロアリ駆除剤がある。また、床、壁、家具などに使われる接着剤、塗料、壁面のビニールクロスなどに使われる可塑剤、畳、壁材などの防黴剤、防虫剤などのほか、木材でも輸入材の多くには防黴剤、防虫剤が使われている。
 なぜ、最近の住宅には、危険な化学物質が多用されるようになってしまったのか。いろいろな原因が考えられるが、ここでは、問題を根本から考えることを怠った対症療法的な発想の弊害を指摘したい。日本の夏は高温多湿なため、風通しが悪いと室内にカビが生えたり、ダニが発生したりしやすい。そして、カビやダニがアレルギーの原因になることもある。
 こうしたカビやダニの発生に対する短絡した対策として、畳や壁材などに防黴剤、防虫剤を多用するようになった面がある。しかし、実はこうした化学物質は、アレルギーをひどくする効果をもつことが明らかになっていて、その点からも間違った対策である。
 夏に高温多湿になる地方の多い日本列島では、湿度調整機能がきわめて重要であり、それを基本にして住宅のあり方を考えないといけない。木材と土壁を基本にした日本の伝統的構法は、調湿機能の点でたいへん優れた特性をもつ。化学物質過敏症を、そうした風土に合った暮らしの知恵を学び直し、「持続可能な住・生活文化への転換」を進めなくてはならないという警告と見なすこともできる。
(2004/12/27:JANJAN-特集)
工業化以後の手仕事(4)沖縄の風土と芭蕉布
 シックハウス症候群の重大さが認識されるとともに、木材や和紙、土壁などの自然素材をうまく生かした住まい方に強い関心が持たれるようになっている。しかし、それ以前から、大都市のマンション生活者などが、広葉樹の大木の力強い素材感の大きなテーブル(例えば「岩泉純木家具/テーブルのふるさと」)をリビング・ルームに取り入れるといった現象が見られるようになった。これは健康への配慮というより、規格化された工業製品ばかりに囲まれた都市生活の息苦しさから逃れたいという欲求の表れと言えないだろうか。
 木材のような自然素材は、それぞれ個性的であって、均質ではない。しかし、量産工業の価値基準は、できるだけ均質な素材を求める。80年代になってから、規格化された工業製品にとり囲まれた生活に嫌気を感じる人たちが多くなり、不均質な自然素材の特性を活かすもの作りが人々の心に強く訴えるようになった。
 これと同様のことが、「衣」の生活文化でも起きている。例えば、自然素材を活かし、すぐれた「着ごこち」をもつ芭蕉布のように、古い伝統をもち、地域の風土に根ざす衣に惹かれる人が多くなっている。
 柳宗悦が「芭蕉布物語」で語ったように、芭蕉布は沖縄の風土の下で育った布である(柳宗悦については「日本民藝館」を参照。また、松岡正剛さんの千夜千冊でも柳宗悦「民藝四十年」をとりあげている)。糸芭蕉(東南アジアで料理用バナナを採っているのと同種の植物)の茎の繊維からつくった糸で芭蕉布は織られる。茎の中心に近い繊維だけを使うと、細い糸ができ、琉球王朝に納められもした高級な芭蕉布が織られる。外周部の繊維でつくった太い糸は野良着を織ったりするのに使われた。
 芭蕉の細い糸は、適度な湿度がないと糸が切れてしまう。そのため湿度の高い季節や時間帯を選んで、織られてきた。また、糸が切れやすいので機械化することはできず、かならず手織りで織られ、一品一品に織手の身体的なリズムが織り込まれる。
 芭蕉の布は、さらっとした肌ざわりで、風が通り、沖縄の暑い夏を過ごすのに適している。着古すとともに、しなやかなで身体になじむ衣になっていく。このように、地域に育つ素材を生かして、地域の風土と生活に適合した製品を生み出していく、伝統的な手仕事の知恵が芭蕉布に集約されている。
 地域の風土に根ざすこうした布や衣(古着を含む)に強い関心をもつ人が増えているということは、「持続可能な衣・生活文化への転換」のひとつの糸口として重要だと思われる。
 沖縄の芭蕉布は、幅広く使われてきたが、戦争による破壊と文化的な断絶のために、戦後の一時期は織り手がいなくなってしまった。すぐれた伝統の断絶を憂えた、沖縄本島・喜如嘉の平良敏子さんが芭蕉布の生産を復活させ、伝統的な技法の継承のための人材育成を行っている(「日本の伝統的工芸館/土に触れる喜びから始まる芭蕉布作り」)。
 連載の第1回「西表の紅露工房」で紹介した西表島・紅露工房の石垣昭子さんは、伝統的な芭蕉布の技法の継承が喜如嘉で行われていることを前提に、芭蕉の糸を使った布や衣の新たな可能性を開拓することに重点をおいている。例えば、八重山諸島では、経糸と緯糸とに異なる素材の糸を使って織る「交織(ぐんぼう)」という技法があるが、紅露工房では、芭蕉の糸と絹糸を使うなど「芭蕉ぐんぼう」の布を織り、沖縄の風土に根ざす素材の新しい分野を拓きつつある。
(2005/1/1:JANJAN-特集)
吉野材で家具のような壁-吉野町商工会と製材業者が共同開発
   良質な吉野木材のブランド力を生かした商品を新しく売り出そうと吉野町商工会(中井神一会長)と吉野町製材業者が共同で、吉野材のむくのピーリング(壁材)にアルミ製機能ピーリングを組み合わせた「スペースウッド」を開発した。来年3月に発表の予定。
 「スペースウッド」は壁に家具の機能を持たせた壁材。むくのピーリングにアルミ製の「機能ピーリング」を自由な位置で組み合わせて棚や箱、コートフック、写真フックなどを設置。さまざまな生活様式に柔軟に対応できる。
 むくのピーリングは取り外しが自由にでき、自分たちで簡単にレイアウトの変更が可能。自由なセッティングができるので変化する生活様式や収納能力などに対応できる。ピーリングと機能ピーリングの組み合わせは無限でさまざまな可能性が広がる。
 また、ピーリングはなめても体に害がなく、シックハウス症候群にもならないという自然塗料を使用してフローリング。色はスギが白、黒、黄、桃、緑、茶、クリアの7色。ヒノキは白、桃、緑、茶、クリアの5色がある。
 スペースウッドの種類は2種類で「節あり」と「節なし」。住宅やマンションのほか和風喫茶や和風居酒屋などの商業用店舗やマンション、社屋、事務所などに活用でき、近代和風的なイメージを生み出す。
(2004/12/19:奈良新聞)
茶、菓子にアクリルアミド 発がん性の恐れ農水省調査
 農水省は16日、市販されているポテトスナックやお茶などの加工食品約150品から、動物実験で発がん性が指摘されている化学物質アクリルアミドを検出したことを明らかにした。
 アクリルアミドは高温で加工した食品に含まれ、厚生労働省の調査でもポテトチップスなどから検出されている。農水省はバランスの取れた食事を続ければ、これらの食品を食べても健康に影響はないとしている。
 国連食糧農業機関(FAO)などが来年、食品の安全性を評価することになっており、今回の検査データを提出する。
 検査は6−7月に財団法人日本食品分析センターが実施。ポテトスナック、コーンスナック、米菓、麦茶、ほうじ茶、インスタントめん計156品のうち、145品から検出した。
(2004/12/16:共同通信)
工事で体調崩し全員退去 伊豆の過敏症転地療養施設
 横浜市の特定非営利活動法人(NPO法人)、化学物質過敏症(CS)支援センターが今年7月、静岡県伊豆市に開設したCS患者のための転地療養施設「あいあい姫之湯」で、入居後も続いた建築工事の影響などで患者が体調を崩し、住み始めたばかりの6人全員が退去していたことが7日、分かった。
 センターはいったん新たな入居を中止。「申し開きのできない失態」と非を認め謝罪している。
 センターは、総事業費約1億3000万円を寄付などで調達し、自然素材を多用した賃貸の共同住宅8戸をオープンさせた。
 ところが、関係者によると、隣接の共同浴場や一戸建て住宅の工事が遅れ、CS患者に悪影響を与える排ガスを伴う重機による作業が続いた。
(2004/12/7:共同通信)
シックハウスの相談を 「脱・化学物質の住まい推進協」設立 /宮城
 ◇医師、設計士らが中間法人設立−−電話、ファクス、Eメールで受け付け
 住宅資材に含まれる有害化学物質で健康を害するシックハウスの相談を受ける有限責任中間法人「脱・化学物質の住まい推進協会」を、県内の医師や建築関係の専門家が設立した。体調不良に悩む市民に自己診断表や問診表を提供し、住宅が原因かどうか医師が診断していく。会員企業同士では、シックハウスを防ぐ資材のデータベース化も進める。【小平百恵】
 メンバーは、アレルギー疾患の専門医、設計士、換気設備や塗装工事など建築関係の専門家らが中心。わが子のアトピーに悩む親や、食事の面から研究するために飲食店経営者も参加した。
 相談は電話やファクス、電子メールで受け付ける。アレルギーの原因として住宅内の環境が疑われても、医師が的確に判断するケースは少ないため、簡単な「自己診断表」が記載されたパンフレットを県内の30カ所の病院に置き、啓発していくことにしている。
 相談者が室内空気の計測や住宅の改修を希望すれば、会員企業を紹介する。企業側はさまざまなケースに対応できるよう、定期的に勉強会を開き、シックハウスを防ぐ資材や工法の研究を重ねる。大手メーカーに一括依頼するのに比べ、専門業者に分離発注するため2割程度、コスト低減が見込まれるという。
 4日開いた設立総会で、代表理事の中沢秀喜医師は「シックハウスは解明されていない部分も多く、勉強会を重ねてきた。正確な情報と安心安全の住宅を少しでも多く提供していきたい」と話していた。
 協会の連絡先は電話兼ファクス022・232・1037。
(2004/12/06:毎日新聞朝刊)
→医師で民主党参議院議員である桜井充氏(民主党シックハウス対策ワーキング・チーム座長)の関与されている団体みたいです。
■シスコン・カムイと旭川医大、「健康住宅」開発へ
 土木建築のシスコン・カムイ(旭川市、只石幸夫社長)と旭川医科大学は、乳幼児や高齢者など体が弱い人でも快適に過ごせる「健康住宅」の研究開発に乗り出す。実験棟を使い被験者のホルモンバランスや血圧などを測定、健康維持に適した室温や湿度、換気条件などを割り出す。健康と住宅の関連性を医学的に検証し、設計に生かす取り組みは珍しい。
 研究期間は2005年度から2年間を予定。旭川医大の吉田貴彦教授を中心とした健康科学講座の研究者のほか、道立衛生研究所や第三セクターの旭川産業高度化センターも加わり、産学官が連携して開発する。
 実験に使用する内外壁断熱コンクリート住宅は年間の外気変動が50―60度にも達する北海道の厳しい環境下でも室内の温度変化が小さい。ただ住宅の室内温度と健康維持との因果関係は不明な点も多く「快適な生活温度を医学的に解明できれば、寒冷地対応住宅の付加価値が高まる」(只石社長)と判断。旭川医大と共同研究に乗り出すことにした。
(2004/12/04:日本経済新聞【地域経済:北海道】)
県内の小中学校で「シックスクール症候群」
◆37校で児童ら体調不良
 「シックハウス」の学校版「シックスクール症候群」が問題となっている。校舎の建築、改築時に建材として使われる化学物質が原因で、児童や生徒が吐き気や頭痛などの体調不良を起こす現象だ。県内でもこのほど県教委が公立校を対象に実態調査を行ったところ、小中学校を中心に37校で子どもたちが症状を訴えていた。
 文部科学省は2月、学校環境衛生の基準を改訂し、シックスクール症候群の原因となる物質を年1度定期検査するよう都道府県教委に行政指導した。これを受け県教委健康教育課が6月から8月に県内1552校に対しアンケートを実施した。
 「過去、工事後に体調不良を訴えた子どもはいるか」という問いに「いる」と答えたのは37校あった。長期休み中に改築工事を行い、その後の換気期間が十分でない場合に症状を訴えるケースが多いという。
 同課は「建物だけでなくパソコンやいす、机など備品が新しく備え付けられた直後に発症する例もある」とする。
 現在症状が重いケースが報告された14校で精密検査を行っている。しかし、予算が約60万円しかなく、なかなか調査が進まない。業者に委託すると1校あたり数万円かかるためだ。そのため各校長を通じ学校薬剤師に頼んで、10本2500円ほどと安価なガラス管を使った簡易検査を導入することも検討している。
 独自に対策を実施し効果を上げている自治体もある。
 玉川村では00、01年夏、小中学校をそれぞれ改築した。鉄筋コンクリートだった床を木製に変え、接着剤もホルムアルデヒドの放散量が最低の製品を使用した。小学校は約5700万円、中学校は約8800万円の改築費がかかったが「他の都市から転校してきた小学2年の児童の症状がぴたりと治まった例もあり、効果はてきめん」と担当者は話している。
 シックスクール症候群 主原因は接着剤に含まれるホルムアルデヒドや塗料溶剤に使われるトルエン、キシレンなどの有機化合物。子どもによっては吸い込むとアレルギー反応を起こし、学校に行けなくなるほどの重症となるケースもある。
(2004/12/4:朝日新聞-埼玉)
有害物質吸い取る建材 におい・細菌抑制にも効果
 風邪でもないのに、室内にいると頭痛がしたり、目がちかちかしたり。原因不明の不調に悩まされた経験はないだろうか。建材から出る化学物質が原因の「シックハウス症候群」であることも多い。空気中に放出される有害物質を除去しないと治らないが、そんなやっかいな物質を吸着する内装材を、苫小牧市の住宅会社が開発。公立病院にも採用されるなど、利用が広がっている。
 開発したのは苫小牧市の大伸産業(工藤邦昭社長)。多孔質の粒子を付けたシートを、壁や天井の断熱材と壁紙の間に張る。商品名は「エコ・グリーン」。同社の注文住宅のほか、2年前に建設された旭川医大付属病院や、建設中の苫小牧市立病院など採用実績は延べ27万平方メートルになるという。
 住宅などにエコ・グリーンを張る場合は、1平方bあたり600円程度。コスト高となるが、工藤社長は「住宅の環境対策では日本は欧米にかなり遅れた。今後は環境重視の住宅のニーズはさらに高まる」と話す。
 シックハウス症候群は、合板や壁紙の接着剤などから出るホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの化学物質が原因。2年前に建築基準法が改正されて、一部の使用規制が始まり、大手も加わって新たな建材開発が行われている。
 エコ・グリーンを使った旭川医大病院の建設後の試験では、ホルムアルデヒドが国の室内濃度指針値の10分の1に。トルエンは半年間で?分の1に減って指針値の3%まで下がり、効果に持続性があることも分かった。
 カギとなったのは「セラミック炭」と呼ばれる微細な穴のたくさん空いた粒子だ。工藤社長が数年前、住宅展示場に来るお客さんから、「シックハウスのない家がほしい」という訴えを聞き、「これからは室内環境にも配慮した家づくりが求められる」と、材料探しに取りかかった。
 まだ、国の規制基準ができる前のこと。メーカーの建材リストをめくってみても、これといったものは見当たらなかった。吸着力に優れたカーボンに目をつけて研究を続けるうち、間伐材や解体材からできるカーボンとセラミックをブレンドして合成した「セラミック炭」が、「効果あり」と分かった。
 混合比を変えては専門業者に試作を頼む、試行錯誤を繰り返し、複数の有害物質を吸い取るセラミック炭を開発。東レの韓国にある関連会社に、薄いシート状に加工してもらい、3年前、製品化にこぎ着けた。現在、特許申請中だ。
 住宅に使った顧客からは、ぜんそくやアトピーの症状が改善したなどの声が寄せられている。
 製品は、シックハウスの原因物質だけでなく、においを取り、細菌の繁殖を抑制する効果があることも分かってきた。
 引き合いは病院や住宅だけでなく、老人施設やペット対応マンションなどに広がり始め、札幌のグループホームや神奈川県箱根町の老人施設からも注文があったという。
 食べ物の鮮度を保つ効果も期待できることから、工藤社長は「北海道の農水産物を、遠く本州や海外へ運ぶときの倉庫や段ボールにも、応用できるのではないか」と話し、商品の多角的な展開を考えている。
(函館支局・泉賢司)
 大伸産業   苫小牧市明野新町1丁目。シート状のエコ・グリーンだけでなく、増改築時に手軽に使えるボード化した製品や、事務所内の間仕切り板、セラミック炭を詰めて室内やタンスに置ける小袋も製作。販路拡大に、札幌市に販売会社をつくった。問い合わせは、電話0144・55・5515。
(2004/11/30:朝日新聞-北海道)
もみ殻の煙でぜんそく発作 秋田大助教授ら研究
 稲刈り後の稲わらやもみ殻を燃やしたときに出る煙の中に、ぜんそくの発作を引き起こす化学物質が含まれていることが、秋田大学医学部の臨床検査医学教室の萱場広之・助教授らによる研究で明らかになった。専門家は「ぜんそくとの関連性を科学的に裏付けたのは初めてではないか」と指摘している。
 きっかけは、地元のぜんそく患者からの相談だった。稲刈りの時期(9〜10月)、発作による受診が急増。萱場助教授は脱穀後に出るもみ殻が原因とみて研究を始めた。
 もみ殻から出た「ちり」の抽出液を分析すると、細菌内毒素(エンドトキシン)が含まれており、体内でアレルギーを引き起こす「好酸球」を活性化させていた。
 また、ちりが飛ばない地域でもぜんそくの発作が起きている実態から、もみ殻焼きの煙も分析。すると「シックハウス症候群」の原因とされるアセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどが検出された。
 稲刈り後の田んぼから立ち上るもみ殻や稲わらの煙は、米どころの秋の風物詩。だがあちこちから出る煙で視界が遮られ、交通渋滞の原因にもなる。秋田県は10月から11月上旬の焼却を禁じている。だが、燃やしている農家も少なくない。農水省の02年の調査では、全国で稲わらの3%、もみ殻の13%が焼かれているという。一方、青森県でもみ殻の堆肥(たいひ)施設が建設されるなど、再利用に乗り出す自治体も増えている。
 萱場助教授は「単に禁じても隠れて燃やす農家が増えるだけ。燃やさずに処理する仕組みを、農家と行政が一緒に考えてほしい」と話している。
 〈帝京大学医学部・大田健教授(呼吸器・アレルギー学)の話〉 もみ殻や稲わらの煙と、ぜんそくとの関連性は、これまで推測にとどまっていた。今回、科学的な根拠ができたことで、稲刈りの季節に対応した早めの治療や予防が可能になると思う。
(2004/11/29:朝日新聞)
用途拡大すすむ 粉体塗料
塗料業界において現在、最も神経を使われているのが、大気汚染やシックハウス症候群の原因とも見なされている揮発性有機化合物(VOC)の問題だろう。粉体塗料は原料にVOCを含まず、塗装時にも必要としないことから、環境対策として抜群の塗料といえる。ただ、わが国の塗装に対するし好や使い方から、市場では液体塗料が圧倒的なシェアを有しており、過去、使用拡大の試みが行われたにもかかわらず、欧米に比べても普及はいまひとつだった。今年に入って大気汚染防止法が改正されるなど、状況は大きく変わりつつあり、「今度こそは」と市場拡大への期待が高まっている。
(2004/11/12:日刊工業新聞)
化学物質を一切使わず、岩手県シオンが健康接着剤
  化学物質を一切使わない健康接着剤が誕生――。
岩手県江刺市に本社のあるシオンが、「スクラムマスタースーパーハード」の製品名で開発した。http://www.xion.co.jp/
(2004/11/11:佐藤登さんより)
東京都報道発表 ジクロルボスを含有する蒸散型殺虫剤の使用は要注意!
 東京都は、東京都消費生活条例に基づき「ジクロルボス(DDVP)を含有する殺虫剤」について調査しました。その結果、この殺虫剤を用法用量どおりに使用した場合でも健康に影響を与える恐れがあることが明らかになりましたので、危害の未然防止を図るため、国への緊急提案を実施するとともに消費者への注意喚起を行います。
(2004/10/20)
91教育施設で国の基準値上回る化学物質検出 浜松市教委(静岡)
 浜松市教委は18日、市立の幼稚園、小中学校の全120施設中、91施設でシックハウス症候群の原因物質の1つとされる「ホルムアルデヒド」など3つの化学物質が国の基準値を超えて検出されたと発表した。しかし、再検査では91施設すべてで基準値を下回ったといい、市教委は換気に気を使えば安全だとの通知を同日付で学校を通じて保護者あてに送った。
 市教委は7月下旬に、空気中化学物質の濃度検査を行った。基準値を超えたのは、ホルムアルデヒドが幼稚園2園、小学64校、中学25校。最高値は花川小で基準値の約3倍。トルエンは上島小のみで約2倍。パラジクロロベンゼンは小学1校、中学1校で、最高値は都田中の約6倍だった。トルエン、パラジクロロベンゼンが検出された施設ではすべてホルムアルデヒドも検出されていた。
 建材などに使われるホルムアルデヒドは、基準値の5倍になると、目の刺激などの影響を及ぼすとされている。
 検査は、国の通達に基づいて年1回行われており、教室や音楽室などを24時間締め切った状態で測定した。91施設ではその後、換気しながら8時間以上測定する方法で再検査が行われた。
 同市の教育施設では、昨年の検査でも小中学校33校で2つの化学物質が基準値を超えて検出された。市教委は「発生源の追跡調査が必要だが、原因究明は難しい」としている。
(2004/10/19:読売新聞)
可視光利用の光触媒 屋内やトンネルに設置可能
 紫外線を含まない可視光や、蛍光灯の光でも、汚れの分解や抗菌などの光触媒機能を発揮する材料を開発したと、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が14日、発表した。
 同機構は「シックハウス対策で室内の壁をコーティングしたり、トンネルの内壁に塗り込んだりすれば、高い性能が期待できる」としている。
 現在、光触媒として使われている酸化チタンは、紫外線が不可欠。微量の窒素を添加すると、紫外線より波長の長い可視光でも光触媒機能が生じるが、600度以上の高温処理が必要だった。
 同機構は、酸化チタンを有機溶媒で処理した後に、350度程度で加熱するなどして窒素を添加。高温処理では低下していた触媒機能を維持することに成功した。
(2004/10/14:共同通信)
大阪府が学校や図書館などの「統一マニュアル」策定へ
 大阪府は5日、「子どものためのシックハウス症候群対策マニュアル」を今年度中に策定することを決めた。子どもが利用する学校、保育所、図書館など幅広い施設で統一した対策に取り組む方針で、都道府県では初の試みという。マニュアルでは、化学物質濃度の測定法や建材選びを一本化し、換気の方法や殺虫剤使用時の留意点などについても明記。▽学校での濃度測定のノウハウを、教委の所管外の保育所や図書館などに応用できる▽学校改修時の建材選びで、建築都市部の情報を活用できる―などの効果 を期待している。市町村にもマニュアルの利用を呼びかける。
(2004/10/6:読売新聞)
旭川市の公務災害認定却下
 2001年、旭川市第2庁舎の改修直後にシックハウス症候群とみられる症状になったが、公務災害認定申請を却下された同市の女性保健師4人が、この決定の取り消しを求め、地方公務員災害補償基金道支部の審査会に不服審査を請求することを決めた。4人は化学物質過敏症との診断を受け01年4月、公務災害認定を同支部に申請。同支部は長期間、高濃度のトルエンにさらされた状況は認められないとし「本人の素因(体質)が原因にあると考えられる」として今年8月、「公務外」とする決定を通 知。4人は、発症前の健康状態からみて原因が「本人の素因」とは考えにくいと反論。@化学物質過敏症に対する「医学的知見」が専門医による知見とは異なるA判断基準に「労働環境における化学物質の許容濃度」を用いているが、職場の空気測定の結果 が許容濃度を超えなかったことだけを判断基準とするのは不適切―などを主張する方針。
(2004/9/29:北海道新聞)
シックハウス症候群 “専門家”育成へ資格制度
 室内汚染が原因でのどの痛み、呼吸困難などを発症するシックハウス症候群が社会問題化するなか、NPO法人(特定非営利活動法人)シックハウス診断士協会(広島市、湧嶋卓理事長)が「シックハウス診断士」の資格認定制度を設立、注目を集めている。住宅調査や室内空気測定を通じて、シックハウス対策のエキスパート育成を目指す。
 シックハウス症候群は、建材や家具の接着剤などから発生する化学物質を吸い込むことで頭痛、のどの痛み、呼吸困難を起こす。化学物質を多く含む建材の使用や、気密性の高い建物の増加が背景にあり、食料品や化粧品など日用品にひそむ有害物質の危険性も指摘されている。
 シックハウス診断士の業務は室内空気測定や住宅新築やリフォームのアドバイスなどで、住環境の改善などが期待される。診断士になるには、診断士補試験に合格することが条件。
 診断士補試験では、シックハウス関連法の概要に加え、室内汚染のメカニズムや建材の特性、カビなど化学物質以外の原因に関しても出題、七月に実施した第一回試験には建設業者や学生など予想を大幅に上回る千七百人が参加した。合格率は約七割で、来秋、診断士試験を行う。
 同協会では建築士やインテリアコーディネーターに加えアレルギー専門医師との連携も視野に入れており、室内空気測定から発生源特定などの住宅調査、改善策提案までの流れをコンサルタント業務として提案、新規ビジネス開拓も目指している。「住宅取得のアドバイザーとしても活用していきたい」(上堀秀和事務局長)と話している。連絡先はTEL082・849・2686。
(2004/9/27:産経新聞)
EU、玩具へのフタル酸エステル類禁止
 欧州連合(EU)の競争理事会は24日、子供の健康に有害だとして、塩化ビニールを柔らかくする軟化剤として使われているフタル酸エステル類6種類のおもちゃへの使用を禁止する決定をした。フタル酸エステル類は、おもちゃをなめたり、さわったりすると徐々にしみ出し、肝臓や腎臓に障害を引き起こしたり、環境ホルモンとして作用する疑いが指摘されている。フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)など3種類はあらゆるおもちゃで、フタル酸ジイソノニル(DINP)など3種類は3歳以下の幼児を対象にしたおもちゃで、使用が禁止される。競争理事会の決定は欧州議会の批准を経て約1年後に実施される予定。(2004/9/25:共同通信)
シックハウス住民敗訴
東京都調布市の市立調和小学校の新校舎で児童の一部がシックハウス症候群とみられる症状を訴えた問題をめぐり、住民1人が「市長が建設業者に賠償請求しないのは違法」として、工事代金の支出差し止めなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は9日、請求を棄却した。
鶴岡稔彦裁判長は「シックハウス症候群や化学物質過敏症という概念は医学的に確定していない」と指摘。「児童の症状と化学物質との法的な因果関係は断定できず、業者に賠償責任はない」と判断した。
判決によると、調和小学校新校舎は2002年夏に完成したが、9月の新学期スタート直後から目、のどの痛みや皮膚炎などの症状を訴える児童が続出。市の委託を受けたNPO法人が、床材や接着剤に含まれる化学物質によるシックハウス症候群とみられるとする調査結果をまとめた。
(2004/9/9:共同通信)
「解剖実習で化学物質過敏症に」と元医学生が大学を提訴
 「解剖学実習で使うホルマリンで化学物質過敏症になり、医師の道を絶たれた」として、東海大と山口大の医学部を退学した30代の女性が7日、両大に計1億円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。解剖学実習で化学物質過敏症になった学生が大学の責任を問う訴訟は初めてという。訴状によると、女性は東海大医学部生だった99年4月、解剖学実習の際にホルマリンに接した後、のどの痛みや皮膚のかゆみなどに見舞われた。症状は改善せず、00年3月に退学した。01年4月に山口大医学部に編入した後も、解剖学の実習中に意識を失ったり、目の痛みなどに苦しんだ。女性は02年2月、「多種類化学物質過敏症」と診断されたため、ホルマリンに触れずに実習を受けられるよう大学に要望したが、十分な対策がとられず、04年3月に同大学も退学した。女性側は「大学によってはホルマリンの濃度を下げたり、アルコールに切り替えているのに、両大は安全配慮義務を怠った」と主張している。
(2004/9/8:毎日新聞)
工事担当者の不起訴は不当
事務所の内装工事で排気措置を怠ったため、発生した接着剤の有毒ガスで、別の事務所の2人に神経障害などを負わせたとして、業務上過失傷害容疑で送検された工事担当者3人を不起訴とした東京地検の処分について、東京第二検察審査会が不起訴不当の議決をしていたことが分かった。
議決によると、3人は02年6月、東京・銀座のビルの事務所で床タイルカーペットを敷く工事をした。その際、使った接着剤から揮発性有機化合物を含む有毒ガスが発生。十分な排気措置を取らなかったため、廊下を隔てた別の事務所に流入し、事務員2人が中枢神経機能障害などを負った。
審査会は「同じことが起きないよう再度実験し、化学的に明らかにすべきだ」と判断した。
(2004/9/3:毎日新聞)
公務災害不認定の2職員が不服審査請求
 改修工事後の図書館で勤務し、化学物質過敏症になったのに公務災害を認めないのは不当とし、吹田市職員2人が30日、公務認定しなかった地方公務員災害補償基金府支部に公務外処分の取り消しを求める不服審査請求をした。請求書などによると、2人は改修工事が終わって02年4月にオープンした市立中央図書館北千里分室で勤務。同年4月中旬から目やのどに痛みを覚え、シックハウス症候群による化学物質過敏症と診断された。また、図書館のオープンに合わせて市が行った化学物質の測定検査で、同症候群の原因物質とされるトルエン濃度が、厚生労働省の指針値の5・4倍に上ることも判明。同年7月、同府支部に公務災害認定の請求をしたが、今年7月、同支部は「発症は本人の素因によるもので、公務が有力な発症原因とは認められない」として請求を棄却した。
(2004/8/31:毎日新聞)
【生活ジャーナル】内装、家具にむく材が人気
 住宅の内装や家具に使う木材で、合板や木材チップの接着加工をしていないむく材の人気が東北地方でも高まっている。接着剤や塗料に含まれる化学物質などが原因で体調不良を起こすシックハウス症候群を背景に、自然素材が見直されている。
 ▽出荷は1割増
 東京都新宿区の住宅関連の展示場「リビングデザインセンターOZONE」では、7年前からスギやナラ、ヒノキなどのむく材の床板や家具、机を販売するショールームを開設。当初は素材研究のため訪れるプロの建築家が多かったが、最近は子育て中の30〜40代の女性の来店者が目立つ。
 建材による健康への影響を確認する人が多く、案内担当の稲田智子さん(46)は「塗料も植物油など天然塗料が好まれる。若い世代を中心に建材選びに慎重な人が増えている」と話す。国内の主要建材メーカー16社でつくる「日本木質内装材工業会」(東京)によると、協会発足の2002年から翌年にかけ、加盟社のむく材出荷量が約1割増加した。
 国もシックハウス対策を本格化しており、化学物質の規制や換気設備の設置義務化などの法整備を進めているが、「法律をクリアしているだけでは、健康対策が十分でないと感じているお客が多い」と稲田さん。
 ▽秋田スギ活用も
 建築事務所などと取引のある木材・家具輸入会社経営の平沢瑞雄さん(67)=東京都港区=も、ここ2、3年、むく材人気の高まりを感じている。手づくり家具やこれを扱う中小の工務店が特に注目されている。インターネットの普及で大手業者以外の情報も簡単に入手できるようになったことが一因だが、合板を多用した既製品にはない、むく独特の香りや肌触りの良さに多くの消費者が気付き始めたためという。
 こうした動きに、地域材の消費拡大が課題の自治体も関心を寄せている。スギの生産量日本一の宮崎県は本年度、首都圏や九州各県でスギ材の需要調査を行う。スギを建物の柱に使った後、残った部分をむく材として家具用などに売り出したい考えだ。秋田県は、秋田スギを学校やコミュニティーセンターに活用する施策を推進中。長野県も地元材を使った家具づくりの支援に乗り出した。
 日本木材総合情報センター(東京)で「木のなんでも相談室」室長を務める岡野健東大名誉教授(65)は「人には植物と共存しようという動物本来の本能が備わっている。今のむくブームは当然の流れで、今後も消費者の自然志向は続くのではないか」と話す。
(2004/8/23:サンスポ)
お宅の「シックハウス」状況を無料で調べませんか
 新築の建物などに入ると、目がチカチカしたり、のどが痛くなったりする「シックハウス症候群」は、室内の化学物質が原因のひとつになっていると見られている。その現状を把握するため、財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、国土交通省の委託による「住宅の室内空気環境に関する全国実態調査」の測定に協力するモニターを募集している。費用は無料。
 調査対象は、おおむね入居後1年以下の住宅(一戸建て、マンションを問わず)で、調査方法は、居間や寝室などのうち1室に簡易測定器を24時間取り付け、簡単な調査票とともに返送する。測定物質は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど6物質。個人住宅だけでなく、事務所・店舗も受け付けている。
 同センターに応募すれば、測定キットが送付され、測定後返送すると結果を個別に知らせてくれる。なお、個々の情報を一般に公表することはない。詳しい内容と申し込みは、同センターのホームページへ。
(2004/8/9:読売新聞)
千代田区が新築住宅などの測定義務化
 シックハウス症候群対策として、東京都千代田区は、区内で新築・大規模改築される住宅などについて、建築主に完成後の室内濃度測定と入居者への結果 公表を義務づける指導要綱を制定する方針を固めた。10月からの施行を目指している。対象物質は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン。完成時に建築主に濃度測定をさせ、測定結果 を入居者に公表するよう義務づける。必要な経費は建築主が負担する。公表方法などについては今後、検討していく。対象は住宅やマンションのほか、学校や保育所、高齢者施設、病院、ホテルなどの長期間滞在型施設。要綱のため罰則はないが、区は「測定結果 を見て入居を決断できる仕組みをつくる」と話している。
(2004/8/7:朝日新聞)
シックハウスで年間11万人死亡*中国
【北京31日時事】中国で劣悪な建材や内装がもたらすシックハウス症候群が深刻化、室内の空気汚染に起因する死者が年間十一万人を超し、交通事故死者数に匹敵していることが分かった。実態を伝えた三十一日の新華社電は「勤労家庭の十数年の蓄積を投じて、見えない刺客を呼び寄せていいのか」と、住宅ブームに潜む新たな危険に警告を発した。
 中国では、建材、室内装飾材から放出される高濃度のベンゼンなど化学・放射性物質がもたらす重度のシックハウス症候群が、数年前から問題化した。中国室内装飾協会が明らかにしたデータによると、空気汚染に起因する病気などによる死者は年間十一万一千人。
 悪質な建材、室内装飾材が市場に横行していることが要因で、検査も業界任せ。北京、上海などで昨年行われた行政側による抜き打ち検査では、基準に適合したのはいずれも六割に満たなかった。
(2004/8/1:北海道新聞)
まじめな教師がなぜ?
 4月。名古屋市内にあるマンション11階から34歳の女性が飛び降り自殺を図った。この時、自殺を手伝ったとして44歳の男が逮捕された。
男は、自殺した女性の夫で、滋賀県の県立高校の教師だった。
保健体育を担当していた男は、勤務態度も真面目で生徒たちの信頼も厚かった。
知人も「奥さんに献身的に尽くしていた」と話す。
妻はなぜ自殺を図り、夫はなぜ自殺を手伝ったのか?
その背景には、現代の医療では治療さえも困難な病気との壮絶な戦いがあった。
「今晩死ぬ。苦しいから連れて行ってよ」。深夜、そう懇願された男は、妻を自転車に乗せ、近くのマンションへ向かった。「おんぶして。お願い。最後のお願いだから。この壁に座らせて」男は、最後の願いを聞き入れた。
 妻を10年もの間、苦しめたのは「化学物質過敏症」という病気だった。
これはアレルギーが先鋭化したもので、身の回りのあらゆる化学物質のにおいに反応し、強烈な痛みや、アトピーなどのアレルギー反応が起こるというもの。
化学物質過敏症は、症状に個人差が大きく、具体的な治療法は確立されておらず、また診断できる医師の数も少ないのが現状。
妻の症状は「呼吸難」「湿疹」「体中の激痛」などをともなう重症だったという。
 妻の自殺を手伝った男は、何度も引越しを繰り返していた。しかし、どこに移り住んでも、あらゆる化学物質のにおいに反応し、長くは暮らせなかった。
妻の実家がある名古屋に移り住んだ男は、勤務先の滋賀県の学校まで片道3時間かけて通勤していた。献身的な介護、長時間の通勤、それでも改善されない妻の病状。男は自身も「うつ病」と診断された。
 自殺の6日前。「これから死にに行く」といって家を飛び出した妻を男は何とか説得して家に連れ戻した。妻の異変に、男はこの日から学校を休んでいた。
その日から妻の自殺をせがまれ続けた男は、ついに自殺を止めることができなかったという。
この取材を担当したディレクターに男からの手紙には、こう書かれていた。
「生きていても苦しい。死んで楽になりたいと言っていました。でも誤解しないでください。私は妻が元気になって、また二人で楽しく暮らす日を夢見ていたのですから」
  化学物質過敏症支援センター
  連絡先:045-663-8545月・水・金(祝日を除く)朝10時から夕方5時まで受付
(2004/7/18:テレビ朝日系「報道STATION」-特集-)
堺のシックハウス損賠訴訟 堺市など、全面的に争う姿勢−地裁口頭弁論/大阪
◇保育園児がシックハウス症候群に
 新築の園舎で高濃度の化学物質が検出されたのに放置したためシックハウス症候群にかかり、精神的苦痛を受けたとして、堺市東湊町の湊保育園の園児や卒園者計30人が、同市と建設会社などに計5450万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、地裁堺支部(佐藤明裁判長)であった。被告側は棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。
 市側は「民間保育園での園児に対する安全配慮義務はない」と主張。建設会社側は「接着剤が原因でシックハウスが問題になったことはこれまでなく、予見可能性はなかった」などと述べた。
 訴状によると、同保育園は02年、社会福祉法人が市立保育所を引き継いで園舎を新築。この際、接着剤から発生したと推定されるトルエンの濃度が指針値の12倍に上がっていたのに有効な対策が取られず、園児約40人にシックハウス症候群の症状が出た。
(2004/7/10:毎日新聞)
化学物質過敏症患者に朗報
−伊豆に長期療養施設が完成 地元農家などに支援の動き

 横浜市のNPO「化学物質過敏症支援センター」が伊豆市中伊豆地区で建設を進めていた同症患者の長期滞在型療養施設「あいあい姫之湯」がこのほど完成し、患者の入所受け入れが始まった。同センターによると同症の長期滞在型療養施設は国内初で、センターは「中伊豆に全国の化学物質過敏症患者を支援するモデル地区になってほしい」と今後の地域との連携促進に熱い期待を寄せている。
 全国の候補地の中から、豊かな自然と温泉に恵まれた旧中伊豆町姫之湯地区に着目し、平成十一年から地元住民と建設に向けた協議を開始した。住民の理解を得て昨年秋に起工し、山林内の約三千九百平方メートルの敷地に、計八世帯分の賃貸用共同住宅を完成させた。
 施設は木造で壁にはしっくいを使用し、木の成分に反応する患者のために一部石張りの部屋も用意。接着剤を使用しないなど工法にも配慮した。建設現場への自動車の乗り入れや作業員の喫煙を禁止し、見学者にも整髪料や香水の使用自粛を求めるなど、建設関係者は細心の注意を払った。
 「周囲の環境が良く快適に過ごせそう」と施設の印象を語った関東在住の女性患者は「国内に安心して住める場所がないのが一番の問題。街の中は化学物質が充満しているし、山奥でも人の出入りがあれば化学物質は入ってくる」とため息をつく。今回の施設を含めても国内の療養施設はわずか三カ所。センターの横田克巳理事長は「患者の存在が社会的に認知されていないことも大きな問題」と指摘する。
 中伊豆地区では現在、地元の業者や農家などによる支援組織が出来つつあり、施設への地場産食材と生活用品の供給、ヘルパーの派遣などが検討されている。地元とセンターのパイプ役を務めてきた小笠原次雄さん(77)は「患者さんの役に立つだけでなく、地域の産業振興にもつながる。施設を核にして地元住民の新たなネットワークを築いていきたい」と今後の意気込みを語った。
 施設の問い合わせは化学物質過敏症支援センター[電045(222)0685]へ。
(2004/7/8:静岡新聞)
バリアフリーや防犯、シックハウスを配慮した賃貸住宅促進で融資制度を創設
 東京都は7月1日、賃貸住宅におけるバリアフリー化や防犯対策強化などを促進するため、住宅金融公庫と連携した融資制度の運用を始める。同制度は「ハートビル条例」の施行に合わせ創設するもの。
 同制度は都が定める一定の建設基準に基づき建設する民間賃貸住宅向けに、住宅公庫融資の特別加算を行うもの。
 都内に新築する民間賃貸住宅が対象で、建設基準はバリアフリーでは通路のスロープ化や住戸内の段差の解消、手すりの設置、滑りにくい床仕上げ、一定の廊下幅員の確保などとなっている。そのほか、防犯対策では玄関扉のピッキング防止、防犯ガラスまたは防犯フィルムの設置など、シックハウスでは材料にホルムアルデヒドの発散量が極めて少ないものを使用することなどとなっている。特別加算融資限度額1戸当たり400万円。
 問い合わせは東京都都市整備局民間住宅課・電話03(5320)5005まで。
(2004/7/2:読売新聞不動産流通経営協会提供)